マンションのベランダ防水はなぜ必要?防水工事の種類やタイミングなど紹介
マンションを建築してから年数が経過したタイミングで防水工事を提案された経験がある方は多いと思います。
しかし、防水工事でどのような施工が行われ、なぜ必要なのか分からないという方もいらっしゃるかもしれません。
防水工事の事前知識がない場合は、マンションのベランダ防水に対して前向きに検討できないでしょう。
そこで今回は、マンションのベランダ防水の必要性や施工の種類、タイミングなどについてご紹介いたします。
防水工事とは?
防水工事とは建物を雨から守るために行う施工のことを言います。
この施工を行うことで雨水が建物内部に浸入するのを防げるのです。
防水工事を行うべき箇所はさまざまありますが、その中でも特にベランダは常に雨風に晒されている箇所であるため、防水工事の施工が欠かせません。
ベランダで行う防水工事をベランダ防水と言いますが、なぜベランダ防水を行わなければいけないのか気になる方も多いかもしれません。
ここでは、ベランダ防水の必要性についてご紹介いたします。
マンションのベランダ防水はなぜ必要?
日々雨風に晒されている建物は、防水工事を用いて保護しなければ建物内部に雨水が浸入してしまいます。
浸入した雨水はマンションの内部に錆や腐食といったさまざまなトラブルを引き起こすため、建物の寿命を大幅に短くしてしまうのです。
防水工事は新築時に施工されているものの、紫外線や歩行時の摩擦によって劣化が進んでいきます。
そのため、おおよそ10年前後で施工した箇所の塗膜が劣化し、建物を保護する機能が失われてしまうのです。
このような事情があるため、防水工事は新築時だけでなく定期的に行っていくことが必要になるのです。
マンションのベランダ防水工事の種類
防水工事にはさまざまな種類があり、さらにその中でもベランダに適したものがあります。
ベランダ防水を行う際は、施工する環境や状況に応じて最適なものを選ばなければいけません。
ここでは、マンションのベランダ防水で採用されることの多い防水工事をご紹介いたします。
FRP防水
FRP防水とは、強化繊維プラスチック(FRP)を施工箇所に敷き、その上から樹脂やトップコートと呼ばれる仕上げ材を塗布して防水層を形成する防水工事です。
FRPは船舶や浴槽、ロケットなどにも使用されている信頼性の高い素材であり、耐久性や耐水性に優れているといったことや軽量で高強度などといったさまざまな魅力があります。
これを防水工事に用いることで、人々の往来が多い場所や車両が走行する場所でも施工できることに加え、建物への負担を抑えた施工ができるなど、多くのメリットが生まれるのです。
ウレタン防水
液体状のウレタン樹脂を施工箇所に複数回塗布することで防水層を形成するウレタン防水は、ベランダ防水に限らず、さまざまな箇所において採用されることの多い防水工事です。
液体状のウレタン樹脂を用いるため、複雑な施工箇所や段差がある場所でも柔軟に施工できるといった強みがあります。
また、別の防水工事が行われていた箇所であっても、そのまま上から重ね塗りができるため、古い防水材を撤去せずに防水工事が行えるのです。
塩ビシート防水
塩化ビニル製のシートを接着剤や固定用のディスクを用いて施工箇所に貼り付ける施工を、塩ビシート防水と言います。
この工法は耐久性に優れており、先ほどご紹介したFRP防水やウレタン防水の寿命が10年前後であるのに対して、塩ビシート防水の寿命は10年から15年です。
そのため、施工のたびに入居者に対してお知らせをしなければいけないマンションなどにおいては、施工頻度を減らせるため非常に重宝されます。
マンションのベランダ防水工事のタイミングとは?
マンションのベランダ防水工事を行うタイミングはいくつかあります。
このタイミングで適切に施工を行わなければ、防水機能が低下してさまざまな問題を引き起こす原因になりかねません。
ここでは、マンションのベランダ防水工事を行うべきタイミングについてご紹介いたします。
前回の防水工事から10年が経過したとき
FRP防水やウレタン防水などをはじめとした、さまざまな防水工事の寿命はおおよそ10年前後です。
寿命を迎えた防水層は、本来の機能が失われてしまうため雨から建物を守れません。
そのため、防水工事が寿命を迎える前に早急に防水工事を行っておくことをおすすめします。
仮に10年を過ぎたままさらに長い年月放置していると、建物内部の重要な箇所が錆や腐食で大きなダメージを受けている可能性があるので要注意です。
ひび割れやはがれがある
ベランダにひび割れやはがれなどのような劣化症状が確認できたら、すぐに施工を行いましょう。
ひび割れやはがれは、外部の衝撃や経年劣化によって防水工事で形成されていた塗膜が破損している状態です。
この状態を放置しているとそこから雨水が浸入してしまい、建物内部にさまざまなトラブルを起こすかもしれません。
水たまりができる
ベランダは少しだけ傾斜が付けられており、雨が降った際は防水加工されたベランダの表面を滑りながら傾斜を利用することで水が排水溝に流れていきます。
しかし、防水機能が失われていると、水がその場に留まってしまい水たまりが発生するのです。
水たまりの発生は防水層の劣化であるため、早急な施工が必要といえるでしょう。
雑草やコケが生えている
鳥や風によって運ばれてきた種が原因で、雑草やコケが発生していれば要注意です。
仮に対処せずに放置していると、雑草の根や茎が防水層や建物本体を破損させてしまうことがあります。
そのため、雑草やコケの発生が確認できたら、すぐに防水工事業者に依頼して撤去しましょう。
雨漏りが発生している
数多くある劣化症状の中でも、最も深刻な状態は雨漏りの発生です。
雨漏りを放置していると内装にカビが発生したり、家具・家電の破損トラブルが起きたりすることに加え、住民からクレームが起こる可能性もあります。
さらに、建物の内部にカビや腐食が起きやすい状態になっているため、早急に防水工事業者に依頼して対策しなければいけません。
マンションのベランダ防水を長持ちさせるには?
ベランダ防水には、相応の費用が掛かります。
そのため、日々のメンテナンスの徹底や対策の検討を行い、少しでも長持ちさせてベランダ防水の頻度を下げたいと考える方もいらっしゃるでしょう。
ここでは、マンションのベランダ防水を長持ちさせる方法についてご紹介いたします。
こまめに掃除する
ベランダをこまめに掃除することで、ベランダ防水を長持ちさせることが可能です。
掃除するべき箇所は、排水溝周辺と床です。
排水溝は汚れが溜まりやすい場所であるため、放置していると水が詰まって水たまりが発生するかもしれません。
水たまりの発生はベランダ防水に大きな負荷が掛かるため、水たまりの発生を未然に防ぐことが大切です。
トップコートを定期的に塗り替える
ベランダ防水によって形成された防水層は紫外線に弱いため、紫外線に晒されると劣化が進みやすくなるといった特徴があります。
そんな防水層を守る役割を担っているのが、トップコートです。
トップコートが機能を果たしていれば防水層の劣化を遅らせることができるため、長持ちさせられるでしょう。
ただし、トップコートの寿命は5年であるため、小まめなメンテナンスが欠かせません。
ウッドデッキを設置する
ベランダにウッドデッキを設置することで、防水層の劣化を遅らせることが可能です。
ウッドデッキを設置すると、ベランダを紫外線から守る効果が見込めるでしょう。
ただし、耐久性に優れているものでなければ効果があらわれず、ウッドデッキによってはかえって劣化を早める原因になりかねません。
そのため、ホームセンターなどでベランダに適したウッドデッキを探してみましょう。
まとめ
防水工事を怠ることで発生する雨漏りがマンションで発生すると、入居者からのクレームなどの問題に繋がりかねません。
仮にクレームが続いて入居者が退去してしまうと家賃収入が減るため、トラブルを未然に防ぐことが大切です。
そのためには、防水工事を適切なタイミングで行ったり、小まめなメンテナンスを心掛けたりすることが欠かせません。
ただし、防水層の劣化は目視だけでは把握しきれないでしょう。
トラブルを未然に防ぐためには、信頼できる防水工事業者に依頼して定期的に状態の確認・補修を行ってもらうことが大切です。
信頼できる防水工事業者を見つけて、建物を守るための対策を進めておきましょう。