大規模修繕の準備を進めているマンションオーナー様は多くいらっしゃいますが、意外にもベランダが施工範囲内であることを忘れてしまうケースが多々あります。

ベランダが施工範囲内であることを失念したまま大規模修繕の当日を迎えてしまうと、居住者とのトラブルに発展してしまうといった問題が起こりかねません。

そのため、注意点を押さえた対応や、事前の準備が必要不可欠といえるでしょう。

そこで今回は、マンション大規模修繕におけるベランダ工事の準備や注意点などについてご紹介いたします。

マンション大規模修繕について

建築してから年数が経ったマンションは、さまざまな箇所において劣化や不具合が発生している可能性があります。

そのため、適切なタイミングで修繕を行い、建物の安全性や資産価値を維持することが欠かせません。

このような大掛かりな修繕工事のことを大規模修繕といいます。

ここでは、マンション大規模修繕について詳しくご紹介いたします。

主な工事内容

マンション大規模修繕では、主に共用部分に生じている劣化を補修する工事を行います。

具体的には、外壁に破損・異常が生じていないかの検査・外壁の汚れの洗浄・外壁塗装・防水工事などがこれに該当します。

マンションの破損・異常を放置したままでいると、外壁の劣化・雨水の浸入による雨漏りなどのような問題になりかねません。

それらの問題を防ぐためにも、定期的な大規模修繕は欠かせないのです。

また、施工箇所の共用部とは、主にエントランス・駐車場・外壁・廊下・屋上・ベランダを指します。

ベランダは共用部で工事対象に含まれることが多いため、大規模修繕の際には施工することを忘れないように注意しましょう。

工事期間

マンション大規模修繕にかかる時間は、建物の規模や形状などによって大きく異なります。

おおよその期間としては、50戸以下の小規模のマンションであれば着工から3ヶ月前後、50戸以上の大型のマンションであれば着工から6ヶ月から8ヶ月前後が目安です。

ただし、マンション大規模修繕の場合、修繕工事の計画や見積依頼、住民への説明会などの行うべき工程が多くあります。

そのため、工事の計画から着工開始まで1年から1年半かかる計算となります。

つまり、工事の計画から全ての工程を得て工事が完了するまでの工事期間はおおよそ2年から2年2ヶ月ほどかかると考える必要があるでしょう。

工事費用

マンション大規模工事は、おおよそ12年前後周期を目安に行われることが多いです。

そのため、築41年以上のマンションであれば、大規模修繕はおおよそ3回から4回前後行われています。

年数が経過すれば劣化する箇所・補修するべき箇所が増えてくるため、工事費用は上がる傾向にあります。

1回目の工事費は4,000万円から6,000万円、2回目は6,000万円から8,000万円、3回目以降は6,000万円以上が平均の工事費用です。

この金額はあくまで概算であるため、細かい金額が知りたい場合には業者に見積を依頼して正確な金額を把握しましょう。

マンション大規模修繕におけるベランダ工事の内容

マンション大規模修繕は、施工する箇所によって行うべき工事内容が異なります。

ここでは、さまざまある施工箇所のうち、ベランダに絞って工事内容をご紹介いたします。

防水工事

建物の内部に水が浸入するために行う防水工事ですが、施工後年数が経過するにつれて劣化が進むものです。

そのため、大規模修繕のタイミングでその都度防水工事を行う必要があります。

ここでは、ベランダに行われることが多い防水工事の工法をご紹介いたします。

FRP防水

FRP防水とは、ガラス繊維を混ぜ込んだ樹脂である繊維強化プラスチック(FRP)を用いた防水工事です。

FRPは自転車のボディパーツやロケットなどにも使われている素材であり、軽さと強度に提供がある素材です。

そのため、この工法を採用することで高い防水性や耐久性のある防水工事を短い工期で行えるというメリットがあります。

ウレタン防水

ウレタン防水とは、施工箇所に液体状のウレタン樹脂を塗り付けて硬化させることで防水膜を作る防水工事です。

液体状のウレタン樹脂を使用するため、複雑な形状をした箇所であっても施工できるという利点があります。

さらに、ほかの防水工事と比べてコストを抑えた施工ができるため、多くの現場で採用されている防水工事なのです。

シート防水

シート防水とは、塩化ビニールや合成ゴム製のシートを貼ること防水膜を形成する防水工事です。

施工箇所にシートを貼るという性質上、凹凸や品質に差が生じにくいという利点があります。

さらに、広い面積でも一度の施工が行えるため、ベランダ以外にも屋上などでも採用されることが多い防水工事です。

外壁塗装工事

年数が経過したマンションの外壁は、紫外線や雨風の影響で色あせや変色が生じているケースが多々あります。

この状態を放置していると、古びた見た目となってしまい、新規の入居者獲得に影響を与えかねません。

また、塗装にひび割れや剥がれが生じていると、そこから雨水が浸入するなどの問題も起こり得ます。

これらの問題を解決するためにも、大規模修繕のタイミングで外壁塗装工事を行うことは非常に重要なのです。

また、場合によっては、下地やシーリングにも破損や劣化が生じていることがあります。

そのため、外壁塗装のタイミングで併せて下地補修やシーリング工事も行う必要があります。

マンション大規模修繕に必要な準備

マンション大規模修繕を行う場合、建物診断の実施や修繕計画の組み立て、施工会社の選定や工事説明会の実施など、さまざまな準備が欠かせません。

さらに、それに加えてベランダを大規模修繕がスムーズに行えるようにする必要があります。

ここでは、マンション大規模修繕の際のベランダにおいて必要な準備をご紹介いたします。

ベランダの片付け

共用部に該当するベランダは、防水工事や外壁塗装工事などの大規模修繕が行われる箇所です。

施工業者が立ち入ることもあるため、ベランダの片づけは欠かせない準備といえるでしょう。

片付ける必要があるものとしては、物置や植木鉢、アンテナや物干し竿掛け、網戸などがこれに該当します。

ベランダの片付けが済んでいないと施工に影響を及ぼすため、全居住者が施工前に片付けが済むようにお知らせしておくことは重要です。

網戸の取り外し

網戸も共用部分に該当するため、大規模修繕の際には撤去が必要になります。

そのままの状態にしておくと、施工の際に工具が引っかかることや施工業者が接触して破れる可能性があるため要注意です。

網戸の取り外しは見落としがちな点であることから、居住者に撤去してもらうよう、事前に周知することをおすすめします。

マンション大規模修繕の注意点

マンション大規模修繕には、いくつか注意点があります。

その注意点を知らずにいると、施工時にトラブルに発展しかねません。

ここでは、マンション大規模修繕の注意点についてご紹介いたします。

私物の撤去や移動は居住者が行う

ベランダは共用部分に該当するため、大規模修繕工事の施工範囲内です。

そのため、施工開始前までに私物の撤去や移動を行う必要があります。

撤去や移動に費用や時間がかかるケースもあることから、可能な限り早期に居住者にその旨伝えるようにしましょう。

また、その際に発生する必要は居住者の自費となる点からも、事前にそれを明確に伝えておくことでトラブルを防げる可能性が高くなるでしょう。

保管場所の確保が必要

私物の撤去や廃棄をしない場合には、居住者自身で保管しなければいけません。

物干し竿掛けや物置などは自宅内で保管しにくいため、別途保管場所の確保が必要になるケースがあります。

大規模修繕の計画の際には、仮置き場を設置するようにしましょう。

においや騒音・振動が発生する

大規模修繕の際には、行われる施工によってにおいや騒音、振動などが発生します。

それらによって、居住者に不快な思いをさせる・生活に影響を及ぼすなどの問題が起こる可能性があります。

そのため、施工の際には、これらの問題が発生することを事前に伝えることが欠かせません。

これらを伝えないまま施工を開始すると、多くの居住者からのクレームが発生する事態を招きかねないため、注意が必要です。

洗濯物が干せない期間がある

ベランダの大規模修繕では、下地補修や防水工事、塗装工事などさまざまな施工を行います。

ベランダ工事の施工完了までおおよそ3ヵ月程度の時間を要しますが、その間ベランダへの出入りができません。

つまり、その期間は洗濯物が干せないなどの問題が起こるのです。

これは生活に直結する問題であるため、工事用掲示板などを利用して居住者に適宜確認してもらうようにしましょう。

まとめ

マンション大規模修繕は、建物の寿命を延ばして快適に生活できる環境を構築するためには欠かせない工事です。

そのため、施工には信頼できる業者に依頼したいと考える方も多いはずです。

東京都中央区に本社を構える修工舎は、防水工事・塗装工事・マンションの修繕工事など、幅広い業務を承っております。

東京都・埼玉県・千葉県・茨城県のエリアにて、これまで多くの現場で施工を行ってまいりました。

豊富な資格と知識を有するスタッフが多数在籍していることや、現地調査からアフターサービスまで一貫して対応可能な体制により、安心してご依頼いただけます。

調査やお見積もりは無料で承っているため、大規模修繕やその他工事の際には修工舎にお任せください。