FRP防水の寿命を延ばすメンテナンスとは?劣化によるリスクや最適な改修方法も徹底解説
FRP防水は、さまざまな場所で使われている防水工法です。そんなFRP防水の寿命を延ばすためには、どのようなメンテナンスをすれば良いのでしょうか。
この記事では、FRP防水の劣化によるリスクや、メンテナンス方法や改修方法について解説します。
FRP防水を長持ちさせるために役立つ情報になるので、ぜひ最後までご覧ください。
FRP防水とは?
FRP防水とは、ガラス繊維を混ぜた強化プラスチック樹脂を使った工法です。ガラス繊維とプラスチックを組み合わせることで、プラスチック単体よりも耐水性や強度に優れています。
FRPは、「Fiberglass Reinforced Plastics」の略称で、車や航空機の外内装の部品から、バスタブや公園の遊具、スポーツ用品などさまざまな用途で使われているのです。
そんなFRPを使った防水工法であるFRP防水には、以下のメリットがあります。
- 硬化するのが早くて工期が短い
- 耐荷重性や耐摩擦性に優れている
- 塗装のムラがなく仕上がりがきれい
- 素材が軽量なため建物への負担が少ない
- 複雑な形状でも施工が可能
FRP防水は施工性が非常に優れており、工期も最短の場合1日で施工ができます。丈夫な仕上がりになるうえに建物の負担が少ないため、屋上駐車場や築年数が古い住宅のベランダなどにも施工が可能です。
一方で、FRP防水には以下のデメリットもあります。
- 紫外線への耐性が低い
- 伸縮性が低くひび割れが起きやすい
- 施工費用が高い
FRP防水は、木造かつ10㎡以上の広い面積への施工には向きません。伸縮性が低くひび割れが発生しやすくなるため、施工場所には注意しましょう。
FRP防水の寿命
FRP防水の寿命は、日々の使い方やバルコニーの大きさ、周辺環境などにも左右されますが、一般的にはおよそ10年と言われています。
しかし、適切なメンテナンスを行うことで、劣化速度がおさえられて寿命を延ばすことができるでしょう。
寿命を過ぎることで起こるリスクとは?
FRP防水の寿命を過ぎてしまうことで、起こりうるリスクについて紹介していきます。
水がたまりやすくなる
FRP防水の寿命を過ぎると、トップコートの劣化や防水機能の低下などにより、FRP防水面に水がたまりやすくなる場合があります。
トップコートとは、FRP防水の仕上げ材として防水層の上に塗布する塗料です。太陽の紫外線などから防水層を保護する役割があり、他にも遮熱効果や滑り止めなどの効果があります。
水がたまってしまうと、さらに防水層の劣化が進む原因にもなるので、注意しておきましょう
カビや雑草が発生しやすくなる
FRP防水の防水機能の低下により、FRP防水面にカビや雑草が発生する場合があります。雑草は防水層や下地の部分まで根を張る可能性があり、そこから漏水が発生するリスクも考えられます。
雑草の根が深くまで張っている場合はむやみに抜かずに専門業者に相談して対応してもらうようにしましょう。
また、カビは建物だけでなく人体の健康にも悪影響を与えます。カビや雑草は、周辺に川や森など緑豊かな場所ではさらに発生しやすくなります。
雨漏りのリスクがある
FRP防水の寿命が過ぎることで、雨漏りのリスクが高くなります。劣化した防水面から雨水が浸入すると、建物の構造部分の木材を腐食させてしまい、最終的に雨漏りへとつながるのです。
雨漏りが発生すると、大がかりな改修工事が必要で多額の改修費用も必要になってしまいます。大きな被害へと発展する前に、しっかりメンテナンスをして被害を拡大させないことが大切です。
寿命を延ばすメンテナンスとは
ここでは、FRP防水の寿命を延ばすために、効果的なメンテナンス方法について紹介していきます。
メンテナンスを怠るとFRP防水が損傷しやすくなるので、内容を確認して定期的なメンテナンスを心がけましょう。
トップコートを塗り替える
トップコートを定期的に塗り替えることで、FRP防水の寿命を延ばすことができます。トップコートは、一般的には5年を目安に塗り替えるようにしましょう。
トップコートの塗り替えを専門業者に依頼せずに自分で塗り替えることで、メンテナンス費用を抑えることができます。しかし、自分で塗り替えると塗り漏れが発生したり、手間がかかったりするので、なるべくプロの専門業者にトップコートの塗り替えをしてもらうことがおすすめです。
こまめに掃除する
日頃からこまめに掃除をしておき、きれいな状態を維持しておくことは非常に大切です。
掃除は、以下の手順で行うと良いでしょう。
- 小さなゴミや砂を掃除機やほうきで取り除く
- 中性洗剤などをまいて水を含んだタワシなどで軽くこする
- 水を流して自然乾燥させる
特に排水溝のゴミは、念入りに取り除いておきましょう。排水溝が詰まってしまうと水たまりが発生する原因となります。他にも藻やコケなども広がるおそれがあるので除去しておきましょう。
ベランダなどの外部の防水面の掃除はおろそかになりがちですが、こまめに掃除しておくことでFRP防水の寿命を延ばせます。
ただし、硬いブラシなどで防水面を強くこすってしまうと、トップコートに傷がつく可能性があるので、強い衝撃を加えないように気をつけましょう。
劣化していないか定期的にチェックする
FRP防水面が劣化したり損傷したりしていないか、定期的にチェックする習慣をつけると良いでしょう。
特に、地震や台風などの自然災害が発生した後は、念入りに防水面を確認しておくことがおすすめです。FRP防水は伸縮性が低いため、地震によって建物にゆがみが生じた場合に、ひび割れや損傷が発生しやすくなります。
FRP防水面が劣化や損傷した場合は、早期に対応することが大切です。劣化を放置してしまうと、雨漏りが発生したり、大規模な改修工事が必要になったりしてしまうので、気をつけましょう。
劣化した場合の改修方法
FRP防水が劣化してしまった場合、劣化具合に応じて適切な改修を選択することが大切です。ここでは、FRP防水が劣化した場合の改修方法を3つ紹介していきます。
部分改修
FRP防水面に、浮きやはがれなどの劣化症状が一部にある場合、部分改修にて対応するケースがあります。これは、劣化した部分のFRP防水層を取り除き、新たにFRP防水層を作る方法です。部分改修は、劣化が軽度かつ限定的な場合に行います。
全面改修
全体的に劣化が進んでいる場合は、全面改修が必要です。
全面改修は、既存のFRP防水の上に新しくFRP防水を重ね塗りする方法で施工します。重ね塗りをしても下の層と一体化することで、強力に防水性能を維持してくれます。重ね塗りは、下地の強度に問題がない場合に施工が可能です。
下地補強および全面改修
雨漏りなどで下地が腐食していたり、強度が弱くなっていたりした場合は、下地から改修する必要があります。既存のFRP防水層をはがして、下地を補強して新たにFRP防水を施工します。
FRP防水の改修を適切に行うためには、劣化状況をしっかり見極めることが大切です。施工においても、正しい知識と高い技術力が要求されます。そのため、調査や施工は、豊富な実績や経験をもったプロの専門業者に依頼するようにしましょう。
まとめ
FRP防水の寿命を延ばすメンテナンス方法や、劣化によるリスク、劣化した際の改修方法について解説しました。
日頃から適切かつこまめにメンテナンスをしておくことは、FRP防水の劣化を防ぐことに大きく貢献します。
もしFRP防水に異変や不具合を見つけたら、早期に専門業者にて点検および改修をしてもらうようにしましょう。