【雨漏りを防ぐ】FRP防水の補修はDIYでも可能?劣化原因や対策について防水のプロが徹底解説
防水工事の種類の1つにFRP防水があります。雨漏りや漏水を防ぐFRP防水の補修は、DIYでできるのかと疑問に思う方もいるのではないでしょうか?しかし、DIYでの補修はあまりおすすめしません。
この記事では、FRP防水の劣化原因やDIYで補修をあまりおすすめしない理由など、防水のプロが徹底解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
FRP防水とは?
FRP防水とは、ガラス繊維を混ぜた強化プラスチック樹脂を使った工法です。
FRPは、「Fiberglass Reinforced Plastics」の略称で、日本においては1980年頃からさまざまなメーカーが防水用ポリエステル樹脂の開発に積極的に取り組んだこともあり、1990年代以降に多く施工されてきた防水工法です。
そんなFRP防水の、メリットとデメリットを以下にまとめてみました。
FRP防水のメリット
- 硬化が早く工期が短く済む
- 耐荷重性や耐摩擦性に優れている
- 塗装のムラができず仕上がりがきれい
- 素材が軽量で建物への負担が少ない
- 複雑な形状でも施工が可能
FRP防水のデメリット
- 紫外線への耐性が低い
- 伸縮性が低くひび割れが起きやすい
- 施工費用が高い
FRP防水は施工性が非常に優れており、工期も最短の場合1日で施工が可能です。丈夫な仕上がりかつ建物の負担が少ないため、屋上駐車場や築年数が古い住宅のベランダなどへの施工も適しています。
FRP防水の劣化原因とは
FRP防水は、常に外気にさらされており日々劣化していきます。ここでは、FRP防水が劣化する主な原因について詳しく解説していきます。
太陽の紫外線
FRP防水が劣化する原因の一つは、太陽の紫外線です。FRP防水は紫外線への耐性が低く、太陽の紫外線を日々浴び続けることで、以下のような症状が発生する場合があります。
- トップコートのつやがなくなる
- 防水層の表面が退色する
- チョーキング現象が発生する
トップコートとは、FRP防水の仕上げ材として防水層の上に塗布する塗料です。防水層の表面が紫外線により分解されてしまうことで、色あせたりチョーキング現象が発生したりします。
チョーキング現象とは、防水面を指で触った時に白いチョークの粉のようなものが付く現象です。これは古くなった塗膜がはがれてきている証拠なので、このような症状が発生した場合はメンテナンスを検討しましょう。
また、紫外線から保護するための方法として、FRP防水面の上にウッドデッキなどを設置することがおすすめです。
ウッドデッキの設置によって、紫外線の劣化が軽減できます。しかし、ウッドデッキは腐りやすいので、いずれにせよこまめなメンテナンスは必要です。
ウッドデッキはホームセンターなどで手軽に購入することができます。ウッドデッキを設置する場合は、ウッドデッキとFRP防水の間の風通しが良くなるように設置して、湿気がたまらないようにしておきましょう。
地震などの自然災害
地震などによって建物にゆがみが生じた場合、FRP防水面がひび割れてしまうことがあります。
木造住宅では地震が発生した場合、ゆれを吸収して地震のエネルギーを逃します。しかし、FRP防水は伸縮性が低く硬いため、地震のゆれやゆがみに対応できません。
自然災害が落ち着いた際には、FRP防水面に問題はないかどうか確認をして、損傷や不具合が見つかった場合は、専門業者に点検や補修を依頼しておくようにしましょう。
施工不良
防水工事に施工不良があった場合、FRP防水の劣化を早める原因となります。
たとえば、トップコートを塗る前には、FRP防水層の表面を調整したり、油分を除去したりしておくことが大切です。しかしそれを怠って施工すると、接着がうまくいかずに早期に不具合が発生してしまいます。
また、FRP防水は伸縮性が低いため、木造の広いバルコニーは不向きです。具体的には、木造かつ10㎡以上の広い面積にFRP防水を施工すると、ひび割れが発生しやすくなってしまいます。
防水工事は施工する職人の腕によって仕上がりが大きく左右されます。そのため、豊富な実績や経験をもった、安心して任せることができるプロの専門業者に依頼しましょう。
もし不安な場合は、複数の業者から見積もりを取得して、相見積もりをすることがおすすめです。じっくり比較検討して自分に合う業者に依頼するようにしましょう。
掃除の頻度が低い
FRP防水面の掃除の頻度が低い場合、劣化をより早める原因となります。
劣化をおさえるためにも、日頃からこまめに掃除をしておき、きれいな状態を維持しておくことが大切です。排水溝のゴミや砂ほこりや鳥のフンなどを定期的に掃除して取り除くことで、FRP防水の寿命を延ばせるでしょう。
ただし、硬いブラシなどでこすってしまうと、トップコートに傷がつく可能性があるので、強い衝撃を加えないようにしましょう。
FRP防水の症状別補修方法
FRP防水は、劣化の症状によって最適な補修方法が変わります。ここでは、症状に応じた補修方法について解説していきます。
FRP防水面がうすくひび割れている場合
FRP防水面がうすくひび割れている場合、トップコートが劣化しています。防水層は、表面のトップコートによって紫外線や熱などから保護されていますが、トップコートも日々劣化が進行します。
この症状の場合、すぐに大きな被害につながるなどの緊急性は高くありませんが、トップコートの塗り替えを行うと良いでしょう。一般的に、トップコートはおよそ5年〜7年程度で塗り替えをするのがおすすめです。
トップコートの劣化を放置してしまうと、FRP防水層への劣化につながるので注意しましょう。
FRP防水面が浮いたりはがれたりしている場合
防水層が浮いたりはがれたりしている場合、その症状の範囲によって補修方法が変わります。
FRP防水層の浮きやはがれなどの劣化症状が一部分である場合、部分補修にて対処が可能です。劣化した部分のFRP防水層を取り除き、新たにFRP防水層を作って補修します。
防水層の浮きやはがれが広範囲に広がっている場合は、全面改修が必要です。
雨漏りが発生している場合
雨漏りがすでに発生していると、大規模な改修工事が必要です。まずは雨漏りの原因を特定する必要があります。そして下地を撤去して新たに作り直したあとに、FRP防水層とトップコートを塗布します。
雨漏りが発生していると改修工事は大変なので、そうならないためにメンテナンスを日頃から心がけておくことが大切です。
FRP防水の補修はDIYで可能?
FRP防水の補修費用をおさえるために、DIYでできないのかと考える方もいるかもしれません。
FRP防水層を作るには、正しい知識と高い技術力が必要です。安易にDIYで補修してしまうと、雨漏りの原因など大きな被害へと発展しかねません。そのため、FRP防水の補修をDIYでするのはあまりおすすめしません。
ただし、FRP防水面を保護するトップコートの塗り替え程度であれば、素人でもDIYで塗り替えることは可能でしょう。しかし、DIYで塗り替えると塗り漏れが発生したり、手間がかかったりする可能性が高くなります。
プロの専門業者に依頼すれば、費用はかかってしまうものの、プロの施工による確かな技術や、アフターサービスなどを受けることができます。DIYと比べても、安心感において大きな差が生まれるでしょう。
まとめ
FRP防水の劣化原因や対策について解説しました。FRP防水工事は、職人の技術力が大きく仕上がりに影響します。
雨漏りをきちんと防ぐためにも、DIYで補修することはあまりおすすめしません。豊富な知識と経験のあるプロの専門業者に依頼して、建物を大切に維持していきましょう。