マンションの大規模修繕工事にかかる費用はどれくらい?費用を抑える方法も解説
定期的に実施する大規模修繕工事において、施工に必要となる費用が修繕積立金を上回り、費用が不足するといったトラブルが起こるケースがあります。
特に近年は物価の高騰や建設費の値上がりにより、このようなトラブルにお困りの方が増加しています。
そのため、大規模修繕工事の費用を少しでも抑えてトラブルを未然に防ぐことは非常に大切です。
また、大規模工事にはどれほどの費用が必要になるのかを事前に知っておくことで、計画的な予算を組めるようになるでしょう。
今回は、マンションの大規模修繕工事にかかる費用や費用を抑える方法についてご紹介いたします。
マンション大規模修繕工事の費用相場
国土交通省が発表している「大規模修繕工事に関する実態調査」において、マンション大規模修繕工事にかかる費用として、一戸あたり100万円から125万円の割合が多いとされています。
また、床面積で見てみると、1㎡あたり1.0万円から1.5万円の割合が多いという結果になっています。
ただし、大規模修繕工事は施工規模や施工内容などの要素によって金額が変動する可能性があるため、上記の金額はあくまでも目安である点に注意が必要です。
近年では建設費用の高騰により、数年前とは金額の目安が異なります。
そのため、正確な金額を知りたい場合は業者に相談して見積もりを依頼しましょう。
マンション規模別の費用相場
マンションの規模は、50戸以下であれば小規模マンション、100戸以上であれば大規模マンションであると定義付けられます。
マンションの規模によって施工範囲が異なるため、小規模マンションと大規模マンションでは、大規模修繕工事における費用相場が大きく異なるのです。
ここでは、それぞれのタイプの費用相場についてご紹介いたします。
1.小規模マンション
50戸以下である小規模マンションで大規模修繕工事を実施した場合、費用相場は3,000万円から4,000万円となります。
施工対象となる工事内容の有無によって金額が変動しますが、おおよそこの金額の範囲に収まるでしょう。
小規模マンションにおける施工は、大規模マンションに比べると施工範囲が狭いため、費用が少ないという特徴があります。
しかし、それでも相応の金額がかかるため、事前の準備を徹底して万一のトラブルもないように慎重に進めていくことが欠かせません。
2.大規模マンション
100戸以上の大規模マンションにおいて大規模修繕工事を実施した場合の費用相場は、1億5千万から2億円前後になります。
小規模マンションに比べて施工範囲が広く、足場の設置などの安全対策を徹底しなければいけないことに加えて、多くの人員が作業に携わるため、金額が大きくなります。
そのため、計画的に大規模修繕工事に向けた予算を確保し、万全の準備で臨まなければいけません。
工期も長くなるため、入居者に対する事前の説明を徹底し、トラブルなく施工を進められるように業者と密な連携も欠かせません。
工事別の費用相場
マンションにおける大規模修繕工事で行われる施工は、大きく分けて防水工事・外壁工事・仮設工事・設備工事に分類できます。
工事内容によって費用相場がそれぞれ異なるため、大規模修繕工事を計画する場合は各工事の費用相場について知っておくことが大切です。
ここでは、工事別の費用相場についてご紹介いたします。
1.防水工事
防水性を高めて建物の中に雨水が入り込むことを防ぐために行われる工事が、防水工事です。
防水工事は、塩ビ製やゴム製のシートを貼るシート防水やアスファルトを活用したアスファルト防水、ウレタン樹脂を塗布するウレタン防水やFRPシートを貼るFRP防水など、さまざまな種類があります。
シート防水は1㎡あたり4,000円から7,000円、アスファルト防水は1㎡あたり4,500円から7,000円が費用相場です。
また、ウレタン防水は1㎡あたり5,000円から6,000円、FRP防水は1㎡あたり5,000円から7,000円となります。
2.外壁工事
建物の美観を保ち、雨や紫外線から保護する役割を担っている外壁工事は、使用する塗料の性能によって1㎡あたりの費用が変動します。
例えば、アクリル塗料であれば1,500円前後、ウレタン塗料では2,500円前後、シリコン塗料は3,000円前後となります。
また、高性能なラジカル塗料では3,500円前後、フッ素塗料では4,500円前後が相場です。
塗料のグレードが上がれば金額が上がりますが、一方で耐用年数が長くなるといった特徴があります。
そのため、費用対効果を考慮した塗料選びが欠かせません。
3.仮設工事
仮設工事とは、大規模修繕工事を円滑・安全に進めるために行われる工事のことです。
この工事はいくつもの種類があり、それぞれに費用が発生しますが、その中でも大部分を占めているのが足場工事です。
足場工事の費用相場は、1㎡あたり700円から1,500円になります。
ただし、マンションの形状や工事内容によっては移動昇降式やゴンドラなど特殊な足場が必要となるため、その分費用が高額になることがあります。
4.設備工事
年数が経過してマンション内の設備に不具合が生じた場合は、設備工事を実施する必要があります。
施工が必要となる設備は数多くありますが、ここではその中の1つである給排水設備の交換工事についてご紹介いたします。
給排水設備の交換工事は、パイプの太さやマンションの規模によって金額が変動するものの、おおよそ1棟あたり70万円から200万円が相場です。
しかし、工事内容や劣化状態によって金額が大きく変動する可能性があるため、事前の見積もり依頼が欠かせません。
また、工事期間中は水道が使えなくなるため、トラブルを未然に防ぐためにも入居者への事前の説明は必要不可欠です。
マンションの大規模修繕工事における修繕積立金の積立方法一覧
修繕積立金とは、マンションの大規模修繕工事に充てるために入居者から徴収している積立金です。
積立金の積立方法にはいくつか種類があるため、どのような方法があるのか知っておく必要があります。
ここでは、マンションの大規模修繕工事における修繕積立金の積立方法についてご紹介いたします。
1.均等積立方式
均等積立方式とは、大規模修繕工事における費用を予測し、総額を耐用年数で割り一定の金額を徴収する方式です。
長期的に見た場合、積立金の支払額が変わらず安定しているため、未払いや滞納などのトラブルを減らせる効果が見込めます。
この方式は、国土交通省のマンションの修繕積立金に関するガイドラインで望ましいとされています。
そのため、多くのマンションではこの均等積立方式が採用されているのです。
2.段階増額積立方式
段階増額積立方式とは、年数の経過に応じて段階的に修繕積立金の増額を行っていく方式です。
築年数が浅いタイミングであれば入居者の負担が少ないため、ローンの返済など別の費用に充てられます。
しかし、築年数の経過に伴い負担が大きくなるため、次第に入居者の不安が大きくなるといったリスクもあります。
また、入居者の高齢化に伴い収入が減少することが見込まれるため、将来的に未払いや滞納が生じる可能性がある点に注意が必要です。
さらに、増額のタイミングを誤るとトラブルが起こり得るため、この方式の運用は慎重にならなければいけません。
3.修繕積立基金
修繕積立基金とは、新築マンションを購入した方が入居前に支払いを行うことで大規模修繕工事にかかる費用を徴収する方式です。
この方式は事前にまとまった資金を確保できるといったメリットがある一方で、将来的に建築費などが値上がりした場合に費用が不足する可能性があるといったデメリットがあります。
この方式を採用する場合は、修繕積立基金で徴収した費用分で施工を行えるのかを事前に確認しておくことが必須です。
マンションの大規模修繕工事にかかる費用をなるべく抑える方法
マンションの大規模修繕工事を実施する場合、相応の金額が必要となるため可能な限り費用を抑えたいと考える方は多いでしょう。
費用を抑えるためには、いくつかの方法があります。
ここでは、大規模修繕工事にかかる費用を抑える方法についてご紹介いたします。
1.複数社から相見積もりを取る
大規模修繕工事の見積もりを出してもらう場合、1社ではなく複数社から相見積もりを取ることをおすすめします。
相見積もりを取ることで業者が提示した金額を比較検討できるため、金額が安い業者へ依頼することが可能です。
修工舎では、調査や見積もりのご依頼は無料で承っております。
無理な営業は一切せずに、建物全体を見渡してお客様に最適な施工の提案を常に行っているため、ぜひ一度ご相談ください。
2.工事内容を見直す
大規模修繕工事における工事内容を見直すことで、費用を抑えられるでしょう。
そのために必要となるのは、事前に建物診断を実施することです。
建物診断によって建物の劣化状況を正確に把握し、その上で劣化があまり進んでいない箇所の施工を次の大規模修繕工事に回すことで、費用の節約に繋がります。
大規模修繕工事は建物のさまざまな箇所において施工を行わなければいけませんが、無計画に全ての箇所に対して施工を実施するとかなりの金額になるでしょう。
建物に対する施工箇所の優先順位をつけ、必要に応じて工事内容を見直すことも大切なことです。
3.補助金や助成金を使う
国や自治体が補助金や助成金を設けている場合、その制度を利用することで費用を抑えることが可能です。
近年では、バリアフリー化やその他条件を満たすことで、長期優良住宅化リフォームとして支援を受けられることがあります。
補助金や助成金の内容や条件は自治体ごとによって異なるため、事前に内容を確認することをおすすめします。
確認方法は、都道府県や市町村に連絡を入れるか、自治体のホームページを見てみましょう。
マンションの大規模修繕工事の費用が足りない場合の対策
マンションの大規模修繕工事において、修繕積立金が不足するといったトラブルが起こる可能性があります。
その場合、適切な対応を行わなければ大規模修繕工事の実施が困難になるでしょう。
ここでは、マンションの大規模修繕工事において費用が足りない場合の対策についてご紹介いたします。
1.修繕積立金を値上げする
大規模修繕工事のために毎月徴収している修繕積立金を値上げすることで、不足分を補填することが可能です。
この方法は、一度にまとまった追加徴収を行わなくて済むといったメリットがあります。
しかし、値上げする金額によっては大きな負担となるため、反対意見が出る可能性が高い点がデメリットです。
また、必要な額を確保するために時間がかかるため、この方法を採用するのであれば可能な限り早期に行わなければいけません。
2.一時金を徴収する
大規模修繕工事に対する不足分を戸数で割って入居者に請求するといった一時金の徴収も、費用が足りない場合の選択肢の1つです。
この方法は短期間で必要な金額を確保できるため、大規模修繕工事の実施の直前に予算不足の問題が発覚した場合などに効果的な方法です。
しかし、一時金は入居者にとって大きな負担となるため、支払いを拒否する方も少なくありません。
また、高齢者などの収入が低い方にとっては非常に大きな負担となるため、支払えないことも起こり得るでしょう。
3.金融機関から借り入れを行う
反対意見多数によって入居者からの徴収が難しい場合は、金融機関からの借り入れも視野に入れる必要があります。
入居者から修繕積立金の値上げや追加徴収に比べると、スムーズかつスピーディーに費用の確保ができる点が魅力的です。
しかし、借り入れ分に対して金利が発生するため、長い目で見ると出費が大きくなる点に注意が必要です。
また、修繕積立金の値上げによって借り入れ分や金利の返済を行わなければいけないため、将来的に入居者への負担が大きくなる可能性があります。
4.工事を延期する
どの方法を実施しても必要になる修繕積立金の回収が行えなかった場合、工事の延期も視野に入れなければいけません。
工事を延期することで、入居者に対して負担をかけずに時期を見計らって大規模修繕工事の再実施ができるでしょう。
しかし、建物に劣化や不具合が生じている場合は、症状が悪化するといったリスクがあります。
場合によっては、症状が悪化することにより当初よりも大規模修繕工事の費用が大きくなったり、劣化の範囲が広がって建物の寿命が短くなったりなどの問題が起こり得るのです。
まとめ
東京都中央区に拠点を置く修工舎は、創業以来戸建て住宅からマンション・ビルまで幅広い物件において施工を行ってきた実績があります。
豊富な知識や資格を保有する熟練のスタッフが多数在籍しているため、プロの目線から適切な施工の実施が可能です。
調査から施工、アフターサービスまで一貫して対応しているため、迅速かつ丁寧なサービスのご提供が可能です。
建物診断や劣化診断などにも柔軟に対応しているため、ご希望があればお気軽にご相談ください。
大規模修繕工事をお考えの方や、施工にかかる費用にお困りの方は、修工舎にお任せください。