大規模修繕工事の周期は12年ごと!費用相場や注意点を解説
頑丈に建設されたマンションであっても、一定期間ごとに大規模修繕を行わなければいけません。
なぜなら、大規模修繕を怠った場合、将来的に建物のさまざまな箇所で不具合が生じるリスクが高まるからです。
しかし、大規模修繕について詳しく知らなければ、なかなか前向きに検討するのも難しいでしょう。
また、どのような点に注意するべきなのかを知っておくと役立ちます。
そこで今回は、マンションの大規模修繕について、費用相場や注意点などをご紹介いたします。
大規模修繕工事の周期はおおよそ12年ごと
マンションの大規模修繕は、おおよそ12年周期で行われることが多いです。
これは、平成20年に国土交通省により公開された長期修繕計画作成ガイドラインにおいて、大規模修繕の実施が12年程度の周期で行うことが紹介されていたため、12年という考え方が浸透したからです。
また、防水材や塗料などの部材は10年経過することで劣化が生じるため、12年ごとの大規模修繕はタイミングとして適切です。
建物の部材は、劣化を放置していると、雨漏りなどのトラブルが発生することがあります。
そのため、12年ごとに大規模修繕を実施することをおすすめします。
マンションの大規模修繕工事が必要な理由
マンションの大規模修繕工事は、なぜ行わなければいけないのか疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
ここでは、マンションの大規模修繕工事が必要な理由をご紹介いたします。
住民の安全を守る
常に雨風や紫外線に晒されているマンションは、日々劣化が進んでいるものです。
劣化が進んだマンションは、耐久性が低下するため、ひび割れや外壁材の破損といった不具合が生じてくるでしょう。
仮にこの状態のまま放置した場合、外壁材の剥落をはじめとしたトラブルが生じ、マンションの住人やマンションの下にいる歩行者を危険に晒しかねません。
実際に、劣化により剥落した外壁材が下にいる方に直撃をして、命に関わる大事故になったというケースが起こっています。
このような事態を未然に防ぎ、安全を確保するためにもマンションを保護する大規模修繕工事は重要です。
マンションの価値を高める
大規模修繕工事を行うべき理由の1つに、マンションの資産価値を高めるというものがあります。
劣化により破損や不具合が頻発するマンションは、住民の生活が不便なものになるため不満を抱える方が続出するでしょう。
問題が多い物件になった場合、退去者が増加することにつながります。
また、外壁が汚れて古い印象を与えている場合には新規入居者が集まりにくいため、空室だらけの物件になるでしょう。
このような状況に陥った場合、売却・賃貸のどちらであっても金額を下げざるを得なくなりマンションの資産価値が低下します。
定期的に大規模修繕工事を行うことで、これらのトラブルを未然に防いで過ごしやすい環境を維持できるため、マンションの価値を高めることにつながるのです。
マンションの機能を回復する
年数が経過したマンションは、各箇所において不具合が生じることが多々あります。
例えば、給排水設備の劣化によって、ある日突然水道やトイレが使えなくなるなどのケースです。
他にも、エレベーターの故障や防水機能の低下に伴う雨漏りの発生など、数多くの問題が起こり得るでしょう。
大規模修繕工事によって、マンションの各設備や部材の機能回復を行うことは快適性を向上させるために大切です。
マンションの大規模修繕工事における費用相場
マンションの大規模修繕は、建物の規模や構造によって異なります。
また、施工回数ごとに金額が変動する点には注意が必要です。
大規模修繕工事を行う場合、1回目であれば4,000万円から6,000万円、2回目であれば6,000万円から8,000万円、3回目以降であればそれ以上の費用が必要になるでしょう。
年数の経過に伴い、修繕を行うべき箇所が増える・工事の規模が大きくなるといったことが原因で回数を重ねるごとに費用が大きくなっていくのです。
1戸あたりにすると、おおよそ75万円から100万円前後必要になります。
費用がかなり大きいため、修繕積立金を徴収して備えておくことをおすすめします。
マンションの大規模修繕における工事内容
マンションの大規模修繕工事は、建物の劣化状態に応じて計画的に施工を進めていく必要があります。
その際に、どのような施工を行われるのかを知っておくことで、計画が組みやすくなるでしょう。
ここでは、マンションの大規模修繕工事の内容をご紹介いたします。
仮設工事
大規模修繕工事を行う場合、最初に仮設工事が行われます。
仮設工事には、「直接仮設工事」と「共通仮設工事」があります。
「直接仮設工事」とは、主に建物周辺への足場・メッシュシートの設置です。
足場は、作業員が安全かつ効率的に作業を進めるのに欠かせないものであり、メッシュシートは塗料の飛散防止の役割を担っています。
一方で、「共通仮設工事」とは、事務所や休憩所などの仮設設備を設置する工事です。
仮設工事を行うことで、大規模修繕工事における事故やトラブルを未然に防ぐことにつながります。
下地・タイル補修
コンクリート躯体部分にひび割れなどの破損が生じている場合、補修を行う必要があります。
下地の状態が悪いまま修繕工事を行ってしまうと、施工後すぐに不具合が生じかねません。
破損を補修する場合、状態を確認して適切な施工を行うことが求められます。
例えば、表面だけのひび割れであればシーリング材の充填を行いますが、内部にまでひび割れが広がり鉄筋にサビが生じている場合には、サビの除去と埋め戻しを行うといった大がかりな工事が必要になるのです。
破損の状況を正確に把握せずに対応した場合、マンションの寿命にも影響を及ぼす問題に発展しかねません。
下地・タイル補修は非常に重要な工程であるため、信頼できる業者に対応してもらうことをおすすめします。
シーリング工事
外壁材同士の隙間やサッシ廻りには隙間が生じるため、その隙間を埋めるためのシーリング材と呼ばれる素材が充填されています。
しかし、年数が経過することでシーリング材の劣化が進み、防水性や気密性が徐々に失われて雨水が入り込むといったことが起こります。
このような状況を防ぐためにも、大規模修繕工事ではシーリング工事が行われます。
施工の際には、既存のシーリング材をすべて撤去し、新しいシーリング材を充填する打ち替え工事が採用されるのが一般的です。
塗装工事
年数が経過した塗装は、雨風や紫外線の影響により劣化が生じていることがあります。
そのため、大規模修繕工事において塗装工事を行われることが多々あります。
塗装工事は、建物の外観の美しさを保つだけではなく、建物を保護するといった役割も担っている大切なものです。
塗膜に剥がれやひび割れが生じていると、そこから雨水が浸入して建物そのものを傷めてしまいます。
塗装工事に使用する塗料にはさまざまな種類があるため、施工箇所の状態や予算に応じて適切な種類を選択することが求められます。
塗料の種類によって性能や耐用年数が異なるため、慎重に検討を進めていきましょう。
防水工事
常に雨風に晒されているマンションは、防水工事を行わなければ雨水が浸入してトラブルに発展しかねません。
このような事態に発展させないためにも、大規模修繕工事のタイミングで防水工事を検討することが欠かせません。
防水工事では、外壁や屋上、屋根やバルコニーなど、さまざまな箇所で施工を行うことが求められます。
施工の際には、シート防水やウレタン防水などのさまざまな工法の中から、施工環境や自身の希望にマッチしたものを選択しなければいけません。
工法によって工期や費用が大きく異なるため、専門業者に詳細を確認しておきましょう。
マンションの大規模修繕における注意点
マンションの大規模修繕を行う場合、注意すべきポイントがいくつかあります。
このポイントを意識せずに計画を進めてしまうと、思わぬトラブルに発展するかもしれません。
ここでは、マンションの大規模修繕における注意点についてご紹介いたします。
管理組合の体制を整えておく
マンションの大規模修繕を行う場合、理事会や修繕委員会が管理組合の代表として工事を主導することがあります。
その場合、施工に関する検討事項は理事会や修繕委員会が決定していきます。
しかし、これらの組織の体制が整っていないまま大規模修繕を進めていくと、いずれトラブルが発生するリスクが非常に高いです。
例えば、組合員に向けた説明が不十分であったり、一部の方の意見ばかり採用されて不平不満が蓄積されたりなどが起こり得るのです。
そのため、公平性や透明性のある組織づくりや、情報共有が徹底されて一枚岩で計画が進められるような組織作りを行っておくことが欠かせません。
修繕積立金の不足を防ぐ
マンションの大規模修繕の費用は、毎月徴収している修繕積立金から捻出されるものです。
修繕積立金は、各管理組合が作成する長期修繕計画に基づいて金額が決定されています。
しかし、この計画における金額が安く見積もられていたり、必要な工事が予算に含まれていなかったりすると修繕積立金が不足してしまう可能性があります。
また、近年では建設費用が上がっていることも、このトラブルが起こりやすくなっている要因です。
このような事態を未然に防ぐためにも、長期修繕計画を定期的に見直すことが欠かせません。
場合によっては工事内容・時期の見直しや、修繕積立金の追加徴収といったことも検討しなければいけません。
防犯対策を行う
大規模修繕の際には、工事に携わる作業員がマンションに出入りすることが多くなります。
このタイミングを見計らって、不審者が侵入することもあります。
作業員は、目印となる腕章やベストを着用しているため、一目で不審者を見分けることができるでしょう。
しかし、人の出入りが多くなると見落としてしまいがちであるため、防犯対策は欠かせません。
バルコニー側の施錠の徹底や、腕章・ベストを着用していない方への声かけ、防犯グッズの導入などは必ず検討しましょう。
マンションの大規模修繕に関するFAQ
マンションの大規模修繕を行う場合、気になりがちなポイントは多岐にわたります。
それぞれの疑問点を解消することで、前向きな気持ちで施工を進められるようになるでしょう。
ここでは、マンションの大規模修繕に関して寄せられることの多い質問事項とその回答についてご紹介いたします。
マンションの大規模修繕に必要な回数はどれくらい?
鉄筋鉄骨コンクリート造、もしくは鉄筋コンクリート造のマンションの法定耐用年数は47年と定められています。
ただし、法定耐用年数=寿命とは限りません。
特に近年のマンションは施工技術が向上しているため、平均寿命が68年とされています。
マンションの大規模修繕は多くの場合12年周期で行われるため、そこから計算すると4回から5回は必要になるでしょう。
マンションの大規模修繕は、築年数が経過すればするほど施工箇所が増え、施工規模が大きくなるため、慎重に修繕積立金を算出することをおすすめします。
マンションの大規模修繕のトラブルはどうすれば防げる?
先ほどもご紹介させていただいたように、マンションの大規模修繕において修繕積立金の不足や空き巣といった犯罪の発生などのトラブルが起こることがあります。
これらのトラブルに加えて、居住者や近隣住民からのクレームや、共用部に私物が置かれていることによる作業の遅れなども起こり得るトラブルです。
それぞれのトラブルが起こる原因としては、施工前の大規模修繕に関する説明が不足していることが挙げられます。
このような事態を防ぐためには、大規模修繕の実績が多い専門業者に依頼するのがおすすめです。
実績の多い専門業者であれば、居住者や近隣住民との対応を円滑に進めることができるため、トラブルが起こりにくいのです。
マンションの大規模修繕で補助金は使えないの?
マンションの大規模修繕において利用できる補助金はいくつかあります。
例えば、修繕計画のための調査費用を補助する分譲マンション計画修繕調査支援制度や、アスベスト含有吹付材の除去工事を補助するアスベスト対策費助成制度などです。
ただし、補助金は自治体ごとに異なるため、事前の確認は必須です。
また、申請には必要書類の用意も欠かせないため、大規模修繕工事を検討する際には前もって申請の準備を進めていきましょう。
まとめ
東京都中央区に拠点を置く修工舎では、大規模修繕をはじめとしたお住まいに関するさまざまな施工を承っております。
修工舎には豊富な知識と経験を保有するベテランスタッフが多数在籍しており、建物だけではなく周辺環境を意識した総合的なご提案を常に行っております。
また、お客様の立場に寄り添った対応を常に心がけているため、安心してご依頼ください。
弊社はこれまで数多くの現場で施工を行ってきた実績があるため、お客様のご要望にも柔軟に対応が可能です。
調査から施工、アフターサービスまで一貫して対応しており、迅速かつ丁寧に施工を進めてまいります。
マンションの大規模修繕をご検討の際には、修工舎にご相談ください。