【基礎知識】FRP防水とは?特徴やメリット・デメリット、最適な施工箇所について教えます。
ハウスメーカーや工務店などの専門業者から、防水工事の提案を受けたという経験がある方は多いと思います。
一口に防水工事といっても、その種類はさまざまあるため、専門業者から防水工事の必要性・特徴を説明されてもイメージできないことがあるかもしれません。
その状態で業者と打ち合わせを行った場合は、施工内容が分からないまま契約を進めてしまうということが起こり得ます。
しかし、それでは防水工事が本当に必要な工事なのか、どのような効果があるのかなど、具体的なことが分からないまま費用を支払うことになるため、すっきりしない気持ちになるでしょう。
そこで今回は、いくつかある防水工事のうち、FRP防水という工事に絞ってその特徴や詳しい内容についてご紹介させていただきます。
FRP防水とは?
FRPとは、補強材としてガラス繊維を混ぜたプラスチックのことです。
このFRPのシートを施工箇所に敷き、その上にポリエスチル樹脂を塗って防水層をつくることをFRP防水といいます。
また、FRP防水は強度や防水性が高いことや、他の防水工事と比べて優れている点が存在するため、多くの建物で採用されています。
耐用年数は10~12年であるものの、紫外線からFRPを守るトップコートが5年で寿命を迎えるため、定期的な塗り替えが欠かせません。
トップコートの塗り替えやメンテナンスを定期的に行うことで、FRPの寿命を少しだけ伸ばすこともできるでしょう。
ただし、耐用年数を迎える前にひび割れなどの異常を発見した場合は、早急に補修工事を行う必要があります。
異常があるまま放置していると、そこから雨水の浸入が起こる危険性があるからです。
防水工事は雨から建物を守るのに欠かせないものであり、もしも異常を放置していると建物内部に水が浸入してしまいます。
浸入した水は雨漏りや建物内部の腐食を引き起こし、結果として建物の寿命を大幅に縮めてしまいます。
そのため、異常があれば修繕を行い、適切なタイミングごとに定期的なメンテナンスを行って、建物を雨から守っていくことが大切なのです。
FRP防水のメリット
いくつか種類のある防水工事には、それぞれに特徴があります。
FRPにもさまざまなメリットがあるため、防水工事を行う際にはそのメリットが自身の所有する建物に適しているのか考えなければいけません。
ここでは、FRP防水のメリットについてご紹介させていただきます。
防水性・耐久性に優れている
FRPは防水性に優れているため、浴槽や貯水槽などの水が絶対に漏れてはいけない箇所にも利用されることのある素材です。
FRP防水の防水性は、他種類の防水工事と比較しても、抜群に高いといえるでしょう。また、耐久性があるといった特徴もあります。
例えば、FRP防水の施工を行った箇所に重い荷物を載せたり、歩行しても問題ありません。
このような性質があるため、自動車が走る屋外駐車場や歩行することの多いベランダなどで用いられることが多いのです。
さらに、薬品に強く、腐食しにくいことも特徴です。
このような理由により、水を絶対に漏らしてはいけない浴槽や貯水槽だけではなく、水を浸入させないために建物の防水工事においてFRP防水を選択される方が多くいらっしゃいます。
他の防水材に比べて軽量
FRP防水で用いられるFRPは、他の防水工事で用いられるどの防水材よりも軽量です。
また、FRPが軽量であれば、建物にかかる負担も軽減されます。
そのため、築年数が経過して耐久面に不安があり、建物にあまり負荷をかけたくないケースなどで用いられることが多々あります。
工期が短い
FRP防水を行った場合、塗膜がおおよそ1~2時間程度で乾燥するため、工期が短く済むという特徴があります。
他の防水工事では、塗膜の乾燥を待つ必要があるため、工期はおよそ4~5日かかります。しかし、FRP防水の場合は、わずか1〜2日で施工が完了するのです。
FRP防水のデメリット
FRP防水を検討する際は、メリットについて知ることが大切ですが、デメリットも事前にチェックしておきましょう。
メリット・デメリットの両方を知ることで、FRP防水への理解が深まるため、大きな検討材料となります。
ここでは、FRP防水のデメリットについてもご紹介させていただきます。
費用が高い
工期が短いため施工しやすく、防水性や耐久性に優れているFRP防水ですが、施工にかかる費用が他の防水工事と比べて高くなるというデメリットがあります。
例えば、液体状のウレタン樹脂を施工箇所に塗るウレタン防水という施工の場合、1㎡あたりの費用相場は3000円から7000円前後とされていますが、FRP防水の場合は1㎡あたり、おおよそ4000円から7500円前後のコストがかかります。
さらに、5年前後でトップコートの塗り替え作業が必要になるため、維持費が発生するのです。
このように、FRP防水は性能が良い反面、相応の費用がかかるというデメリットがあります。
施工箇所・建物に制限がある
頑丈なFRP防水は伸縮性がないという性質上、施工箇所に制限があります。
例えば、木造のベランダなどでは木が湿気を吸って収縮するため、FRP防水を行うとすぐにひび割れを起こしてしまう可能性があります。
他にも、鉄の下地や雨漏りなどによって傷んだ箇所もひび割れを起こす可能性があるといえるでしょう。また、それだけではなく広い施工箇所も適していません。
広い場所では建物が地震や強風の影響を受けて少なからず変形を起こすため、ひび割れがおきやすいのです。
そのため、FRP防水は変形量の少ない鉄骨造やコンクリート造の建物、施工面積の小さいベランダや屋上などに適しています。
施工直後には独特の刺激臭がする
FRP防水は施工後しばらくの間、ポリエスチル樹脂特有の刺激臭がすることがあります。
刺激臭は屋上などであれば問題ありませんが、ベランダなどでは生活に影響が出てしまうでしょう。
刺激臭は我慢していても体調が悪くなってしまうため、臭いがおさまるまで外出するなどの対策を検討しましょう。
FRP防水が適している施工箇所とは?
自宅でFRP防水の施工を検討した場合、どの箇所に施工するべきかという判断が難しいはずです。
FRP防水が適している箇所を知ることで、その箇所でFRP防水を施工しようと検討できるはずです。
ここからは、FRP防水が適している施工箇所をご紹介させていただきます。
ベランダ
FRP防水は耐久性に優れているという性質上、人が歩行する箇所の施工に適しているとされています。
そのため、自宅であれば、歩行することの多いベランダが最適です。
ベランダは洗濯物を干すなどの作業によって、人が出入りすることの多い場所です。
仮に防水工事を行って数日間出入りできなくなると、生活に大きな影響が出るかもしれませんが、FRP防水は完成までの工期が短く、施工から1~2日で作業が完了するため、このような心配は必要ありません。
このような理由により、ベランダはFRP防水に適している場所といえるのです。
屋上の床
建物の中で最も雨漏りが起きやすい場所は屋上です。
屋上は建物のどの箇所よりも紫外線や雨風の影響を受けやすく、防水工事の劣化が早い場所として知られています。
さらに、屋上の状況は普段あまり目にしないため、雨漏りをしていても気が付きにくい場所です。
このような屋上の床には、耐久性や防水性に優れているFRP防水が適しています。
屋上に頑丈なFRP防水を行い、定期的なメンテナンスを行うことで、雨漏りなどのトラブルを未然に防げるのです。
駐車場
耐久性の高さが魅力的なFRP防水は、車の走行にも耐えられるほど頑丈なものなのです。
他の防水工事では車が走行したら損傷してしまいますが、FRP防水は耐えられるため、駐車場への施工に適しています。
そのため、FRP防水を実施することでその箇所を駐車場として安心して利用できるといえるでしょう。
FRP防水はベランダや屋上の床だけでなく、駐車場にも用いられている工事なのです。
まとめ
今回は、FRP防水の特徴やメリット・デメリットなどについてご紹介させていただきました。
FRPの特性を活かし、強力な防水層を形成できるFRP防水工事は、多くの建物で採用されています。
軽量かつ施工がしやすく、耐久性にも優れているため、建物への負担は最小のままで最大限の防水効果が得られるのです。
ただし、その反面費用が高いことや施工箇所に制限がある、などのデメリットもあります。
自身の自宅や検討している施工箇所にFRPが適しているのか分からない場合は、専門業者に相談してみましょう。