防水工事の種類の1つである塩ビシート防水の工法には、大きく分けて密着工法と機械固定工法の2種類があります。
塩ビシート防水を検討する際には、施工箇所や環境に応じてどちらの工法を採用するか選択しなければいけません。
それぞれの工法の特徴を知っておくことで、防水工事業者との打ち合わせがスムーズに進むはずです。
そこで今回は、塩ビシート防水についてご紹介いたします。
- 塩ビシート防水とは?
- 塩ビシート防水の密着工法とは?
- 塩ビシート防水の機械固定工法とは?
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塩ビシート防水とは?

塩ビシート防水とは、塩化ビニル樹脂製のシートを施工箇所に貼り付けることで防水層を形成する防水工事です。
この工法は工場で生産された既製品のシートを使用するため、どの職人が施工を行っても均一な厚みで仕上げられるという利点があります。
広い面積を一度に施工できるため、広い現場であっても短期間で施工可能です。
そのため、ビルやマンションの屋上などの広い箇所への施工で採用されることが多々あります。
ただし、複雑な形状は不向きであるため、凹凸や段差のある箇所では施工が難しいとされています。
このように、塩ビシート防水は施工可能な箇所が限られているものの、他の防水工事とは異なる多くの利点を持っているのです。
ゴムシート防水との違い
シート防水と一口に言っても、塩ビシート防水・ゴムシート防水のそれぞれ特徴が異なります。
両者を比較した場合、前者の厚みがおよそ1.5mm~2.5mm、後者は1.2mm~2.0mmと違います。
また、素材の性質にも違いがあり、塩ビシートは高熱で溶ける可能性があるものの、ゴムシートは熱に強いためそのリスクが少ないです。
ただし、ゴムシートは塩ビシートに比べて薄いため、外部からの衝撃に弱いという特徴も持っています。
そのため、ゴムシート防水を行う際には保護剤を塗布して補強するなどの工程も必要です。
このように、一見すると似ている両工法ですが、シートの厚みや素材の特性により工法にも違いがあります。
施工箇所の環境・状況に応じて最適な工法を選択しましょう。
詳しい解説は以下の記事を参考にしてみてください。

塩ビシート防水の密着工法とは?

塩ビシート防水の1つである密着工法とは、接着剤を用いて下地に塩ビシートを貼り付けて防水層を形成する工法です。
ここでは、この密着工法について詳しくご紹介いたします。
密着工法のメリット・デメリット
密着工法は接着剤を用いた施工という性質上、施工に必要な機材・材料が少ない点が特徴です。
そのため、低コスト・短工期で施工できるというメリットがあります。
また、下地に直接塩ビシートを貼り付けるため、強風に対する耐久性に優れています。
一方で、下地の影響を受けやすいという点がデメリットです。
下地が水分を含んでいる場合には施工ができないことも起こり得るため、施工場所の環境には注意が必要です。
密着工法の耐用年数と施工単価
密着工法の耐用年数は、おおよそ10年〜12年とされており、他の防水工事よりも長持ちするという点が魅力です。
施工単価としては、1㎡あたり5,000円前後が相場です。
ただし、施工する業者によって金額が異なるため、事前に見積依頼を行いましょう。
密着工法の手順
ここでは密着工法の手順をご紹介いたします。
下地の清掃
下地に砂や埃が溜まっていないかを確認し、清掃を行っていきます。
また、下地の乾燥もここで確認していきます。
プライマーの塗布
下地とシートの接着力を高めるために、プライマーを均一に塗布していきます。
施工環境を整える
屋上のドレン管や配管回りなどに増し張り用のシートを設置して影響が出ないようにするなど、施工環境を整えて準備を進めていきます。
接着剤の塗布・シートの貼り付け
合成ゴム系の接着剤を下地とシートの裏側にそれぞれ均一に塗布していきます。
その後、シートを貼り付け、空気が入らないようにモップ・ローラーなどを用いて入り込んだ空気を除去します。
立上がり部の処理
垂直に立ち上がっている箇所にもシートを貼り付け、施工を行います。
この工程でも空気が入らないようにローラーなどを用いてしっかりと空気を除去していきます。
最終調整
シートを貼り付けた後に、外観や機能に問題がないか確認を行います。
ここで問題がなければ、仕上げ材をコテやローラーで塗布して施工完了です。
密着工法がよく使われる場所
密着工法は接着剤でシートを下地に直接貼り付けるため耐風圧性が高く、風が当たりやすいマンションやビルのベランダ・バルコニーに向いています。
歩行頻度が高い場所ではシートが浮かないよう密着工法が推奨されるケースが多く、人が頻繁に行き来する屋上廊下でも採用されます。
下地が乾燥していることが前提のため、新築住宅の屋上や小面積の屋根でよく選ばれる工法です。
万が一シートに穴が開いても被害が局所的に収まり、補修のしやすさもメリットになります。
耐風圧・歩行対応・補修性を兼ね備えた密着工法は、小〜中規模の新築現場で特に力を発揮するでしょう。
塩ビシート防水の機械固定工法とは?

機械固定工法とは、固定ディスクと呼ばれる専用の機材を用いて、シートを施工箇所に貼り付ける工法です。
下地に直接シートを貼り付ける密着工法とは異なり、この工法は下地の影響を受けにくいといった特徴があります。
ここでは、機械固定工法の特徴についてご紹介いたします。
機械固定工法のメリット・デメリット
下地と塩ビシートの間に緩衝材とディスク盤を設置することで隙間を作るのが、この工法の特徴です。
作り出した隙間によって水蒸気を逃がすことができるため、下地が水分を含んでいる箇所であっても施工後に膨れなどの不具合が起こるリスクを軽減できるというメリットがあります。
また、過去に別の防水層を施工した箇所であっても、既存の防水層を撤去せずそのまま施工することも可能です。
ただし、施工の際に躯体にビスを打ち込むなどの工程があるため、振動と騒音が発生します。
また、排水のための円盤状のディスクを踏むと破損の原因になるため、人が歩行する箇所には適しません。
そのため、施工箇所や状況に応じて施工可能か判断することが求められる工法でもあるのです。
機械固定工法の耐用年数と施工単価
機械固定工法の耐用年数は、おおよそ15年〜20年です。
そのため、密着工法よりも長持ちします。
ただし、施工単価は1㎡あたり5,500円〜7,500円となっており、施工費用がやや高くなる点には注意が必要です。
機械固定工法がよく使われる場所
機械固定工法は既存の防水層を撤去せず上から施工できるため、改修工事の現場で主流になっています。
下地に湿気が残っていても施工後の膨れが起きにくく、古いマンションやビルの屋上改修に適した工法です。
シートと下地の間に隙間ができる絶縁構造のため、水分を含みやすい陸屋根や大型施設の屋根でも広く使われます。
病院や学校など稼働中の施設では、臭気が少なく利用者への影響を抑えられる点が高く評価されています。
屋上緑化や断熱材との組み合わせも可能で、荷重制限のある建物にも対応できる汎用性の高さが大きな強みです。
機械固定工法の手順
機械固定工法は密着工法とは異なる手順で施工を行っていきます。
ここでは、機械固定工法の手順をご紹介いたします。
下地の確認
下地の強度に問題がないか、樹脂アンカーやビスの引き抜き試験を行います。
また、下地に水たまりが生じるほど大きなくぼみがあれば補修していきます。
絶縁用シートの設置
絶縁シートをシワ・膨れがないように敷き、ジョイント部はテープ貼りで施工を行います。
固定金具の設置
シートにずれが生じないように固定金具を設置します。
シートの風荷重などを考慮しながら取り付けていくことが大切です。
シートの貼り付け・接合
固定金具に溶剤溶着か熱融着によって、たるみや歪みが生じないように貼り付けを行っていきます。
また、接合部のすべてを、接合幅40mm以上で接合していきます。
役物まわりの処理
ドレン管や出隅角・入隅角に成型役物を貼り付けて処理を行います。
接合末端部の処理
接合部の端に隙間が生じないように、それぞれの箇所をシール材でシールして施工完了です。
塩ビシート防水の密着工法と機械固定工法の選び方

塩ビシート防水の密着工法と機械固定工法の選び方について解説します。
下地の状態で選ぶ
工法選択において、下地の状態が最も重要な判断基準といえるでしょう。
下地が乾燥していてコンクリートが健全な状態であれば、コスト面で有利な密着工法が選択肢に入ります。
一方、湿気が多い・劣化している・過去の防水層が残っているケースでは、下地を問わない機械固定工法の方が安全です。
密着工法は下地の影響を直接受けるため、施工前の水分チェックと下地処理が非常に重要になります。
改修工事で「既存層を剥がすかそのまま上から施工するか」という判断が、そのまま工法の選択に直結するでしょう。
施工場所の広さや形状で選ぶ
施工場所の広さや形状も、工法選択の重要な判断軸になります。
広くてフラットな屋上は機械固定工法との相性が良く、大面積での施工効率が高くなります。
基礎・架台・配管などの障害物が多い複雑な形状の屋根では、機械固定工法の施工難度が上がります。
バルコニーのように面積が狭く人が歩く場所は、細かい箇所への対応がしやすい密着工法が推奨されるケースが多くなります。
「広くてシンプルな形状なら機械固定工法、狭くて複雑な形状なら密着工法」が、選択の基本的な目安です。
工期・費用・耐久性のバランスで選ぶ
密着工法は材料・機材が少なく済むため、機械固定工法と比べてコストを抑えやすいのが特徴です。
一方、機械固定工法は接着剤の乾燥時間が不要なため工期が短くなりやすく、タイトなスケジュールの現場に向いています。
耐久性・防水性の面では機械固定工法の方が高く評価されており、適切にメンテナンスすればより長く使えます。
密着工法の耐用年数は約10〜12年が目安のため、長期的なコストパフォーマンスでは機械固定工法が上回るでしょう。
初期費用を抑えたい場合は密着工法、トータルコストと安心感を重視するなら機械固定工法という整理が基本になります。
塩ビシート防水が劣化しているサイン

塩ビシート防水は耐用年数を迎えるだけではなく、劣化している場合であっても早急な施工・補修が欠かせません。
ここでは、塩ビシート防水が劣化しているサインをご紹介いたします。
雨漏りの発生
シート自体に破損・機能低下などの問題が生じていると雨漏りが発生します。
雨漏りは、建物の寿命を低下させることにもつながる大きな問題です。
そのため、すぐに専門業者に相談して対策を講じましょう。
シートの損傷
シートのひび割れや破断などの損傷が生じている場合、そこから雨水が浸入する可能性があります。
わずかな損傷であっても症状が悪化していくため、早急に対処しましょう。
水たまりの発生
シートに膨れや浮きが発生していると勾配不良が起きて水たまりが発生します。
水たまりが発生している箇所から急速に劣化が進むため、原因の特定・解決が求められます。
コケやカビの発生
防水機能が低下している場合、コケやカビが発生します。
この状態を放置していると雨水が浸入するなどの問題に発展するため、専門業者に相談して状況を確認しましょう。
まとめ
密着工法と機械固定工法にはそれぞれ異なる特徴があるため、施工を検討する場合には専門業者に相談してどちらが最適か慎重に決めていくことが大切です。
防水工事は建物を守るために必要不可欠なものであるため、万全の状態で施工に臨みましょう。
東京都中央区に拠点を置き、防水工事などの施工を承っている修工舎では、防水工事をお考えの方からのご相談に対応しております。
お客様に寄り添った丁寧かつ迅速な対応を常に行っております。
防水工事をご検討中の際には、お気軽に修工舎へご相談ください。
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