マンションは計画的に建物メンテナンスを行い、良好な住環境を維持するために長期修繕計画というものを作成して保管しています。
しかし、そのマンションの長期修繕計画のことがよくわからないという人も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、マンションの長期修繕計画とは何か、その目的や効果を高めるポイントを解説します。
ぜひ最後までご覧ください。
- マンションの長期修繕計画とは何か
- 主な工事箇所と周期
- マンションの長期修繕計画の効果を高めるコツ
そもそもマンションの長期修繕計画って何?

長期修繕計画は、マンションの共用部分のメンテナンスを計画的に行うために作成される書類です。
例えば、大規模修繕や定期点検の予定などを10〜20年の単位で計画します。
また、長期修繕計画はマンションごとに作成されます。
ほかのマンションの計画を参考にすることはあるかもしれません。
しかし、全く同じものでは効果が最大化しないため、そのマンションに適した計画を立案します。
マンションの長期修繕計画の目的とは

マンションの長期修繕計画の主な目的は、以下の3つです。
- マンションの修繕をスムーズに進めるため
- 工事費用を把握するため
- 修繕積立金の金額の根拠を示すため
それぞれの詳細を見ていきましょう。
マンションの修繕をスムーズに進めるため
長期修繕計画作成の目的は、マンションの修繕をスムーズに進めることです。
戸建てであれば、所有者が好きなタイミングで希望する修繕を行えます。
しかし、マンションは多くの方と共有して使用しているため、戸建てほど自由に修繕を行えません。
例えば、共用部分に手を加えるときは理事会や管理組合総会の承認が必要で、個人が勝手に修理できないケースも珍しくありません。
このとき、事前に長期修繕計画を作成しておけば、全体像を共有できるため工事や手続きを円滑に進められます。
工事費用を把握するため
長期修繕計画は、将来発生するであろう工事費用を把握するためにも役立ちます。
例えば、12〜15年ほどの周期で行われる大規模修繕工事では数千万円〜数億円の費用がかかることがあります。
何の計画もなしにこのような工事を迎えれば、費用が足りない状況に陥ることもあるでしょう。
長期修繕計画を作成し、いつどの程度の費用がかかるのかを把握して、資金を計画的に準備していきます。
修繕積立金の金額の根拠を示すため
長期修繕計画は、修繕積立金の妥当性を示すためにも役立ちます。
先ほどもお伝えしたとおり、マンションの修繕工事には多くの費用がかかることも珍しくありません。
そのため、事前に修繕積立金でコツコツと資金を集めるのですが、その金額を適当に決定すれば住人から反感を買うでしょう。
そこで、長期修繕計画をもとに修繕積立金を決定します。
しっかりとした根拠があれば、修繕積立金の徴収に対する不満も軽減するでしょう。
マンションの長期修繕計画で考える主な工事箇所と周期

マンションの長期修繕計画を作成するうえで、主な工事箇所と周期の把握は必須です。
工事内容 | 周期 |
---|---|
外壁塗装 | 4〜15年 |
防水工事 | 10〜15年 |
タイルの交換 | 10〜30年 |
配管設備 | 20〜25年 |
立体駐車場設備 | 15〜30年 |
ガス設備 | 25〜30年 |
エレベーター | 20〜30年 |
長期修繕計画を作成する際は、周期をしっかり把握しておきましょう。
以下で実際の施工事例を2つ紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
屋上鉄部塗装・側溝修繕工事|柏市の分譲マンション

千葉県柏市の分譲マンションにて、屋上鉄部塗装および外構側溝の修繕工事を行いました。
共用部の鉄部塗装工事については、理想的には4~6年程度の周期で全体的な修繕を行うことが望ましいとされています。ただし、鉄部の劣化の進行度は部位によって異なります。たとえば、雨にさらされるか否か、紫外線にどの程度曝されるかなど、設置環境によって大きく左右されます。特に屋上の鉄部は過酷な環境下にあるため、劣化の進行が早くなりがちです。
今回は、マンションの長期修繕計画における費用対効果を踏まえ、共用鉄部塗装の施工範囲を屋上のみに限定。その分、確保した予算を活用し、エントランス前のつまずきの原因となる外構側溝のガタつきなど、懸念箇所の修繕も併せて実施しました。
屋上鉄部塗装・アスファルト防水・ウレタン防水工事|板橋区の分譲マンション

屋上防水および鉄部の修繕工事の事例をご紹介します。
屋上防水は、施工仕様を問わず、原則として5年程度ごとに保護塗装を行うことで、防水層の期待耐用年数を延ばすことが可能です。
※参考: 塩ビシート防水にも保護塗装が可能です。また、ウレタン防水については、高耐候性トップコート(フッ素やシリコン樹脂を使用)を防水改修時に施すことで、保証期間(10年)中の保護塗装を省略することができます。
今回の物件(アスファルトシート防水+ウレタン塗膜防水の複合工法)は、前回の防水工事から10年が経過し、メーカーや施工業者の保証が切れていました。そのため、下地の不良箇所を各所で補修したうえで保護塗装を実施しました。この工事により、次回の防水全面改修までのメンテナンスサイクルの延長に寄与できたと考えております。
また、屋上の鉄部は、廊下や外構の鉄部よりも風雨や紫外線にさらされるため、劣化速度が速く、より短いサイクルでの塗装施工が望まれます。今回は、防水層の保護塗装に合わせて屋上鉄部の塗装も実施しました。鉄部塗装を屋上のみで単独施工すると、施工面積が小さいために工事費用が割高になりがちです。しかし、防水層の保護塗装と同時に施工することで、経費を抑え、単独施工よりも安価に実施することが可能となりました。
マンションの長期修繕計画の効果を高めるコツ

マンションの長期修繕計画の効果を高めるコツは、以下の3つです。
- 長期修繕計画はガイドラインに基づいて作成する
- 定期的に見直す
- 修繕積立金の状況によっては早めに対策を施す
長期修繕計画を作成するなら、効果は最大化したいところです。
ここで3つのコツをしっかり押さえておきましょう。
長期修繕計画はガイドラインに基づいて作成する
国土交通省が長期修繕計画についてガイドラインを作成しています。
例えば、計画内容を理解しやすくしたり、積立金の算出方法を統一したりすることをガイドラインでは推奨しています。
ガイドラインに沿って作成することは義務ではありませんが、参考にすることで質の高い長期修繕計画が出来上がりやすくなるでしょう。
参照:国土交通省「長期修繕計画標準様式 長期修繕計画作成ガイドライン 長期修繕計画作成ガイドラインコメント」
定期的に見直す
長期修繕計画の効果を高めたいなら、定期的に見直しを行いましょう。
例えば、近年の物価の高騰や工事価格の上昇などを考慮していない計画に沿って進めても、資金不足などの問題が生じる可能性が高くなります。
資金不足を避けるために長期修繕計画を立てたのに、結局足りないといった状況では目も当てられません。住人からの不満も募るでしょう。
そのため、長期修繕計画は定期的に見直すことを心がけてみてください。
国土交通省のガイドラインでは5年程度ごとの見直しを推奨しているため、5年を一つの目安にするとよいでしょう。
修繕積立金の状況によっては早めに対策を施す
長期修繕計画をもとに修繕積立金を決めます。
このとき、資金不足が一向に解消されなかったり、マイナスが大きくなったりしている場合は、早急に対策を施すことをおすすめします。
長期修繕計画が絶対に正しいと信じ込んで何も対策しないままでいると、後々負担が大きくなる可能性が高く、危険です。
修繕積立金の状況によっては長期修繕計画を見直し、早急に対策を実施しましょう。
マンションの長期修繕計画については修工舎へ

「とはいえ、長期修繕計画の作成と言われてもピンとこない」
「適切に見直せているのかわからない」
このような場合は、専門業者に相談することも検討しましょう。
私たち修工舎は、マンションの修繕工事や防水工事を数多く行ってきたプロフェッショナルです。
豊富な知識と資格、長年の経験から培った技術は当社の強みであり、お客様に満足いただける施工を実現しています。
建物の構造や種別、工事の大小かかわらず対応しておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
マンションの長期修繕計画に関連するFAQ

マンションの長期修繕計画に関連するFAQを紹介します。
- マンションの長期修繕計画は作成する義務がありますか?
- マンションの長期修繕計画の作成費用はいくらですか?
それぞれの回答を見ていきましょう。
マンションの長期修繕計画は作成する義務がありますか?
マンションの長期修繕計画を作成する義務はありません。
ただし、作成していないと将来的に資金不足のトラブルなどに直面する可能性が高まるでしょう。
また、住民から問い合わせがあった時に修繕積立金の根拠が示せないといった状況に陥る恐れもあります。
マンションの長期修繕計画の作成費用はいくらですか?
マンションの長期修繕計画の作成費用は、無償の場合と有償の場合があります。
有償の場合の費用相場は以下のとおりです。
- 新規作成:50〜100万円程度
- 見直し:10〜50万円程度
また、管理会社に支払っている管理委託料に見直しの費用が含まれていることもあるため、事前に確認しておきましょう。
まとめ|マンションの長期修繕計画は専門家に相談しよう!

マンションの長期修繕計画は、修繕をスムーズに進めたり、将来生じるであろう工事費用を把握したりするために作成します。
そして、長期修繕計画の効果を高めたいなら、国土交通省のガイドラインを参照したり、定期的に見直したりしましょう。
しかし、近年の物価高騰や工事費の上昇を考慮して長期修繕計画を見直すのは容易ではありません。
そこで、専門家への相談をおすすめします。
時間や手間を軽減できるだけではなく、見落としなどのミスも避けられるため、質の高い長期修繕計画が作成できるでしょう。
どこに相談すればいいのかわからないという場合は、修工舎へぜひお気軽にお問い合わせください。
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