「天井から水が漏れている」「壁に突然シミができた」……。予期せぬ漏水トラブルに直面し、言いようのない不安と焦りを感じている管理会社様やオーナー様も多いのではないでしょうか 。一刻も早く事態を収拾したいという思いから、目に付く場所を塞ぐといった表面的な補修を急ぎたくなるものですが、確実に止水するためには、プロによる徹底した「原因特定」が最重要です 。
本記事では、正しい初動対応からプロが行う高度な調査手法、気になる費用負担や保険の活用までを詳しく解説します。根本解決を実現し、建物の資産価値と居住者の安心を守るための参考にしてください。
漏水発生!管理会社・オーナーがまず行うべき初動対応

漏水が発覚した際、スピード感を持った対応が被害の拡大を最小限に抑えます。現場が混乱している時こそ、以下の3ステップを冷静に実行してください。
被害拡大を防ぐ応急処置
まずは「これ以上被害を広げない」ことが最優先です。
- 止水栓を閉める: 給水管からの漏水が疑われる場合は、該当住戸のメーターボックス内にある止水栓を閉めます。
- 家財の保護: 階下住戸に漏れている場合は、ビニールシートでの養生やバケツでの受水を行い、家具や家電への二次被害を防ぎます。
- 電気系統の確認: 照明器具やコンセント付近に漏水している場合は、漏電や火災のリスクがあるため、速やかにブレーカーを落とすよう指示してください。
上階・隣接住戸への連絡と状況確認
漏水は「漏れている場所」の真上で起きているとは限りません。水はコンクリートのひび割れや配管の隙間を伝い、予想外のルートで移動します。
迅速に上階や隣接住戸の状況を確認し、「現在、水を使っていないか」「床が濡れていないか」「過去に水をこぼしたことはないか」をヒアリングします。この際、居住者の感情に配慮しつつ、協力体制を築くことが後の調査をスムーズにします。
専門業者への調査依頼(スピード感の重要性)
まず、応急処置と並行して、すぐに信頼できる専門業者へ連絡しましょう。漏水は時間の経過とともにカビの発生や構造体の腐食、さらには居住者間の賠償トラブルへと発展します。
「ただの水道屋さん」ではなく、建物全体の構造を熟知し、詳細な漏水調査(原因究明)が行える専門業者を選ぶことが、最短ルートでの解決に繋がります。
なぜ漏れる?主な原因と修繕工事の内容

漏水の原因は、大きく分けて「外部からの雨水浸入」と「内部の配管トラブル」の2種類に集約されます。原因ごとに必要な修繕アプローチが根本から異なるため、まずは発生源を正確に切り分けることが重要です。
屋上・外壁からの雨水侵入(防水層の劣化、クラック)
ビルやマンションの外装は、常に紫外線や雨風にさらされているため、経年による劣化を避けることはできません。
- 屋上防水の劣化: 屋上を保護するシート防水の浮きや、アスファルト防水の破断箇所から雨水が侵入します。
- 外壁のクラック(ひび割れ): 経年劣化や地震の振動によって生じたひびが、水の通り道となります。
- 修繕工事の内容: 劣化範囲に応じた防水層の再形成、ひび割れへのエポキシ樹脂注入、窓枠などのシーリング(充填材)の打ち替えを行い、建物内部への浸水を遮断します。
給排水管の老朽化・ピンホール(配管更新・ライニング)
築年数が経過した建物において、もっとも警戒すべきなのが配管自体の不具合です。
- ピンホール: 金属管の内部が腐食し、針の穴ほどの小さな穴が開く現象で、じわじわと漏水が進行します。
- 接合部の緩み: 振動や経年変化により、配管の継手部分が緩んだりパッキンが硬化したりすることで漏水が発生します。
- 修繕工事の内容: 傷んだ管を新しいものに交換する「配管更新」や、管の内側を特殊な樹脂でコーティングして延命を図る「ライニング工法」など、状況に合わせた最適な手法を選択します。
意外な盲点?サッシ廻りや打継目地からの浸水
屋上や配管に目立った異常がない場合、見落とされやすいのが「サッシ廻り」や「打継目地」です。
- サッシ廻り: 窓枠と壁の隙間を埋めるシーリング材が痩せて隙間ができ、雨水が吸い込まれるケースです。
- 打継目地: コンクリートを打ち継いだ際の目地部分の止水処理が不十分だと、そこから水が回ることがあります。
確実に止めるための「漏水調査」の種類

「おそらくここだろう」という推測での修理は、再発を招くだけでなく余計な費用を発生させます。確実に止水するためには、勘に頼らず水の通り道を客観的に特定する調査が不可欠です。
目視調査・散水調査
もっとも基本的かつ、調査員の「経験値」が試されるのがこの調査です。
- 目視調査: 専門家がシミの形状や建物の構造から原因を推測します。
- 散水調査: 漏水が疑われる箇所に水をかけ、再現性を確認します。単純に見えますが、「どこに」「どれだけの時間」水をかけるかは熟練のノウハウが必要です。
赤外線サーモグラフィ調査(非破壊で可視化)
建物を傷つけることなく、壁の内部や屋上防水の下にある水の動きを可視化する手法です。
- 仕組み: 水が含まれている箇所は、周囲の乾燥している部分よりも気化熱の影響で温度が低くなる特性があります。
- メリット: 高感度赤外線カメラで撮影することで、温度差から水の通り道を特定できます。足場を組まずに地上から広範囲を診断できるため、コストを抑えつつ迅速に原因箇所を絞り込めるのが大きな利点です。
蛍光染料等のトレーサー調査
複雑な構造を持つ建物や、複数の漏水原因が混在している場合に非常に有効な調査です。
- 仕組み: 調査用の特殊な蛍光剤(発光液)を混ぜた水を、漏水経路と思われる箇所に流し込みます。
- メリット: 漏れ出してきた水をブラックライト(紫外線)で照らすことで、微量な水でもハッキリと確認できます。複数の色(赤・青・緑など)を使い分ければ、どのルートから水が来ているのかを明確に特定できるため、誤診断を防ぐことができます。
費用負担は誰?保険適用と責任区分について

漏水トラブルの解決において、重要かつ複雑なのが費用負担の問題です。責任の所在を明確にし、利用可能な保険を適切に活用することで、金銭的なトラブルを未然に防ぐことができます。
原因が「専有部」か「共用部」かで変わる責任の所在
マンションなどの集合住宅では、原因箇所が「個人の持ち物(専有部)」か「みんなの持ち物(共用部)」かによって負担者が決まります。
- 専有部(個人の責任): 床下を通る枝管の腐食、ユニットバスの設置不備、あるいは「洗濯機のホースが外れた」といった居住者の過失が原因の場合、その住戸の区分所有者が賠償責任を負います。
- 共用部(管理組合・オーナーの責任): 屋上防水の劣化、外壁のクラック、共用部を通る竪管(メインの排水管など)が原因の場合は、管理組合やオーナー様が修繕および被害者への補償を負担します。
施設賠償責任保険や個人賠償責任保険が使えるケース
漏水被害は高額になることが多いため、加入している保険の確認が不可欠です。
- 個人賠償責任保険: 加害側が個人の場合、階下住戸の壁紙貼り替えや家財道具の補償に適用されます。多くの場合、火災保険の特約として付帯されています。
- 施設賠償責任保険: 建物の管理不備が原因で第三者に損害を与えた場合、管理組合やオーナー様が加入している保険でカバーできます。
注意点: 多くの保険において、「階下への被害(賠償)」は補償対象となりますが、「漏水の原因となった箇所そのものの修理費用(例:古くなった配管の交換費用)」は自己負担となるケースが一般的です。保険の適用範囲については、事前に契約内容を精査する必要があります。
まとめ
漏水は、建物が発している重大なサインです。その場しのぎの補修でやり過ごしても、内部では腐食が進行し、最終的には建物の資産価値を大きく損なうことになりかねません。
確実に、そして最短で漏水を止めるためには、「なぜ漏れたのか」という原因特定に9割の力を注ぐべきです。
修工舎では、長年の実績に基づいた高度な調査技術と、それに基づく最適な修繕工事、さらには内装の復旧までをワンストップでサポートいたします。「他社で直らなかった」「原因が分からず困っている」という方は、ぜひ一度、建物のプロフェッショナルである私たちにご相談ください。
\防水工事・塗装工事・修繕工事のお悩みは株式会社修工舎へご相談ください/

