防水工法の一つに「塩ビシート防水」があります。
塩ビシート防水は、シートを貼り付けることで防水層を形成する防水工法です。
この記事では、以下の内容を解説します。
- 塩ビシート防水とは?
- 塩ビシート防水のメリット・デメリット
- 塩ビシート防水と他の防水工事との違い
塩ビシート防水が、どのような箇所に施工が向いているのかも解説していますので、最後までご覧ください。
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塩ビシート防水とは?

塩ビシート防水とは、原料が塩化ビニル樹脂のシートを接着剤や機械などで貼り付けて、防水層を形成する工法です。
塩化ビニル樹脂とはプラスチックの一種で、配管のパイプなどによく使われる素材です。
シート防水の素材は、塩化ビニル樹脂以外ではゴムを使ったものがあります。
ゴムは、塩化ビニル樹脂よりも安価な反面、物理的衝撃には弱く、破れやすいのが欠点です。
塩化ビニル樹脂の方がゴムよりも耐久性が高く、耐用年数も長いため、塩化ビニル樹脂を使ったシート防水が主流となっています。
塩ビシート防水の耐用年数は?
塩ビシート防水の耐用年数は、10年〜15年程度と比較的長くもちます。
そのため、塩ビシート防水は、こまめなメンテナンスが難しいビルやマンションの屋上に施工されることが多い防水工法です。
塩ビシート防水の施工単価は?
塩ビシート防水工事の施工単価は、5,000円〜7,000円/㎡が目安となり、FRP防水やウレタン防水よりも高くなります。
しかし、耐用年数が長いため、コストパフォーマンスに優れているといえるでしょう。
以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。

塩ビシート防水のメリット・デメリット

塩ビシート防水のメリット・デメリットをそれぞれまとめました。
塩ビシート防水のメリット
- 下地の影響を受けない(機械固定工法の場合)
- 耐用年数が長い
- 広い面積に対応が可能
- 仕上がりにムラが発生しにくい
- 耐久性に優れている
- 工期が短い
- メンテナンスが不要
塩ビシート防水は、工場で均一に製造されたシートを使用するため、品質が安定しており施工精度も高い工法です。
機械固定工法であれば既存の下地を撤去せずに施工できるため、コストや工期の面でも優れた選択肢といえます。
耐用年数は一般的に10〜15年程度で、定期的な塗り替えなどの維持管理が不要な点も大きな魅力です。
塩ビシート防水のデメリット
- 複雑な形状には施工が難しい
- 工事中に騒音と振動が発生する(機械固定工法の場合)
- 施工費用が高い
- 技術力が必要
塩ビシート防水は、シートを貼り合わせる工法のため、入り組んだ形状の屋根や細かい凹凸がある箇所への対応が苦手です。
また、機械固定工法ではディスクを打ち込む際の騒音・振動が避けられないため、近隣への配慮が必要になります。
他の防水工法と比べてコストが高くなりやすく、施工品質は職人の技術力に左右される面もあります。
塩ビシート防水の工法の種類

塩ビシート防水の工法の種類は主に以下の2つに分かれます。
- 機械的固定工法(絶縁工法)
- 接着工法
それぞれ違いを見ていきましょう。
機械的固定工法(絶縁工法)
機械的固定工法は、接着剤を使わず、専用の固定ディスクやビスで塩ビシートを下地に固定する工法です。
下地と防水層の間に空気層が生まれるため、下地の動きや亀裂の影響を受けにくい構造になっています。
既存の防水層の上からそのまま施工できることから、改修工事で特に多く採用されている工法です。
下地の乾燥状態に左右されず施工を進められる点も、大きなメリットのひとつといえるでしょう。
なお、風圧への抵抗力を確保するため、固定ディスクの配置間隔は設計基準に基づいて厳密に決められます。
接着工法
接着工法は、専用の接着剤を下地全面に塗布し、塩ビシートをしっかりと密着させる工法です。
シートが下地に完全に固定されるため、強風によるめくれや膨れが起きにくい点が強みといえます。
一方で、下地の精度や乾燥状態が仕上がりに直結するため、施工前の下地処理が非常に重要です。
機械的固定工法と比べて部材点数が少なく、比較的シンプルな手順で施工を完結できます。
複雑な形状の下地にも対応しやすいことから、新築工事での採用が多い工法といえるでしょう。
塩ビシート防水と他の防水工事との違い

塩ビシート防水工事と他の防水工事との違いについて解説します。
乾燥が不要
塗料を使う防水工事では、塗布した塗料を乾燥させる必要があります。
しかし、塩ビシート防水は素材がシートのため、乾燥の手間が不要で、その分工期の短縮が可能です。
つなぎ目が発生する
塩ビシート防水は、シートを貼り合わせていくことで防水層を形成するため、どうしてもシートのつなぎ目が生じます。
シートのつなぎ目は、雨漏りが発生しやすい部分のため、接着剤もしくは熱風で溶かしてきちんと接着させることが重要です。
シートのつなぎ目の処置は、職人の腕に左右されやすい部分です。
悪徳業者による手抜き工事では、つなぎ目を適切に処置しないケースがあるため、業者の見極めは慎重に行いましょう。
メンテナンスの手間がかからない
塩ビシート防水では、耐用年数を迎えるまで基本的にメンテナンスは必要ありません。
FRP防水やウレタン防水などの塗膜防水では、5年を目安にトップコートと呼ばれる防水層の保護塗料を塗り替える必要があります。
メンテナンスの手間を抑えたい場合は、塩ビシート防水がおすすめです。
しかし、塩ビシートの表面に次の症状が発生している場合は、防水専門業者に点検を依頼しましょう。
- シートに膨れ・剥がれ・破れが発生している
- シート上に水が溜まっている
- シートがめくれている
以下記事もご参考にしてみてください。

塩ビシートが破れる可能性がある
塩ビシートの厚みは、2mm〜3mm程度と非常に薄い素材です。
そのため、飛来物による衝撃や、鳥がつつくことによって塩ビシートが破れる可能性があります。
もし、塩ビシートの破れを発見した場合は、そこから雨水が浸入してしまうため、放置せずに防水専門業者に補修を依頼しましょう。
塩ビシート防水の工程

塩ビシート防水の工程を工法ごとにご紹介します。
機械的固定工法(絶縁工法)の場合
機械的固定工法では、まず既存防水層のフクレや破損を補修したうえで、絶縁シートを下地全面に敷き込む作業から始まります。
続いて、塩ビ鋼板アングルを入隅・端部にビスで固定し、平場にはIHディスクを一定間隔で打ち込んでいきます。
ディスクの位置に合わせて塩ビシートを敷き込んだら、IH誘導加熱機でシートとディスクをしっかりと溶着させます。
シート同士の継ぎ目は熱風溶接機(ライスター)を用いて正確に溶着し、防水層を一体化させる工程も重要です。
最後に端末部のシーリング処理と脱気筒の設置を行い、全体の仕上げ確認をして完了となります。
接着工法の場合
接着工法では、下地の高圧洗浄と乾燥確認の徹底が最初のステップです。
下地の状態が施工品質に直結するため、この工程は特に念入りに行う必要があります。
その後、プライマーを下地全面に均一に塗布し、接着剤がしっかり定着するための下地処理を整えます。
接着剤をシートと下地の両面または片面に塗布し、適切なオープンタイムをおいてから貼り合わせます。
シートを貼り付けたら転圧ローラーで全面を圧着し、浮きや気泡が残らないよう丁寧に密着させることが大切です。
仕上げとして、シート継ぎ目の熱風溶着と端末部のシーリング処理を行い、立上り部分の固定を確認して完了となります。
塩ビシート防水が向いている箇所

塩ビシート防水が向いている箇所について解説していきます。
施工面積が広い箇所
塩ビシート防水は、シートを敷く工法のため、一度に50㎡〜300㎡と広範囲の施工が可能です。
塗料による防水では、職人が手作業で塗布していくため、仕上がりにムラが発生しやすくなります。
しかし、シート防水では工場で生産されたシートのため、品質が一定です。
一方で、一般住宅など施工面積が50㎡以下のベランダなどには向きません。
塩ビシート防水は、広い屋上などに施工する場合において、費用対効果が高い工法です。
整形地でフラットな屋上
塩ビシート防水が向いているのは、整形地で平らな箇所です。
そのため、塩ビシート防水は複雑な形状の箇所には向きません。
貯水槽があったり突起物などの障害物が多かったりする箇所は、塩ビシート防水よりもウレタン防水などの塗膜防水の方が、効率良く施工できるでしょう。
また、塩ビシートは摩耗や衝撃、紫外線などに強いため、ビルやマンションの屋上へ施工されるケースが多い工法です。
とくに、陸屋根と呼ばれるフラットな屋上には最適といえるでしょう。
改修工事の場合
塩ビシート防水は、機械固定工法であれば下地の影響を受けません。
前回行った防水工事がFRP防水やウレタン防水などの工法であっても、シート防水はその上から施工が可能です。
下地の補修などにかかる費用や工期が最低限で済むため、2回目以降のリフォームなどの改修工事に向いています。
施工箇所が塩ビシート防水に適しているかは、防水専門業者に調査を依頼して、判断してもらうことがおすすめです。
塩ビシート防水に関するよくある質問

塩ビシート防水に関するよくある質問として、以下2つご紹介します。
塩ビシートは水貼りできますか?
防水用の塩ビシートは、水貼りには対応していません。
水貼りとは水で仮固定しながら位置を調整する方法で、窓フィルムなどでは一般的な手法です。
しかし、防水用の塩ビシートは、専用の接着剤やプライマーを使う設計になっています。
接着工法では下地の乾燥状態が施工品質に直結するため、水分が残った状態での施工はそもそも不適切です。
機械的固定工法は、ディスクと熱溶着で固定する工法のため、水貼りという概念自体が当てはまりません。
防水工事では位置合わせをドライな状態で行い、継ぎ目の溶着や接着剤で確実に一体化させるのが正しい施工手順といえます。
塩ビシートにアスベストは含まれていますか?
現在製造・販売されている塩ビシートに対して、アスベストは含まれていません。
国土交通省のアスベスト非含有建材リストにも、「合成高分子系ルーフィングシート」は原材料にアスベストを必要としない建材として明記されています。
ただし、過去のシート防水ではシートの接着部分などにアスベストが含まれていたケースが確認されており、注意が必要です。
古い建物でシート防水を撤去・改修する際は、施工年代によってアスベスト含有の可能性があるため、事前調査が推奨されます。
心配な場合は、専門機関にJIS A 1481に基づく分析調査を依頼するのが確実な対処法といえるでしょう。
まとめ

塩ビシート防水の特徴や向いている箇所、メリット・デメリットなどを解説しました。
塩ビシート防水は高い技術力が必要な防水工事のため、豊富な知識や経験を持っているか、施工業者の見極めが重要です。
塩ビシート防水工事を検討する際は、塩ビシート防水の特徴を理解したうえで、信頼できる防水専門業者に依頼しましょう。
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