建築時やリフォームをするときの防水対策には、さまざまな工法があります。
防水工事は専門性の高い内容で、工法ごとに金額の単価が異なります。そのため、専門業者でなければ費用はわかりにくいです。
そこで本記事では、防水対策で利用されることが多い、塩ビシートについて解説します。
特徴や単価などの詳細を解説しますのでぜひ参考にしてください。
- 塩ビシート防水とは?
- 塩ビシート防水の施工単価
- 塩ビシート防水のメリット・デメリット
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塩ビシート防水とは?

まず、塩ビシートは、塩化ビニル樹脂に可塑剤を添加したものをシート状にしたものです。
塩ビシートには次の特徴があります。
- 耐候性
- 耐熱性
- 耐摩耗性
- 耐圧縮性
- 自己消火性
- 標準耐用年数は10年〜15年
また、着色性も高いため、デザイン性のある防水層を作れます。さらに、塩ビシートは自己消火性を持っているため、延焼しにくい特徴があります。
次にシート防水とは、塩化ビニールやゴム製のシートを「密着工法」か「機械固定工法」のどちらかの工法で施工する防水工事のことです。
面積の広い一軒家の屋上や、ビル・マンションの屋上で施工されることが多い工法です。
密着工法とは?
雨漏りに有効な工法で、耐久性の目安は10〜12年程です。
塩化ビニール樹脂で作られた防水シートを接着剤などで貼り付ける工法です。下地が平らでなければ、施工が難しくなります。
下地の撤去などが必要ないので、リフォームなどの改修工事におすすめです。
ある程度の強度がありますので、軽歩行程度であれば問題ありません。
乾燥させる工程がいらないため、比較的短い工期で完工できます。
10年以上という寿命が長いことも特徴です。
しかし、高レベルの防水工事のため、施工できる業者が少ないのが現状です。
塩ビシート防水工法は防水性が高く、メンテナンス費用がほとんど必要ないため、機能性やランニングコスト面からは魅力的な防水方法です。
しかし、ほかの工法に比べ、費用が高価な傾向があります。
機械固定工法とは?
こちらも雨漏りに大変有効な工法で、耐久性の目安は15〜20年程です。
シート鋼板をドリルで固定して塩ビシートを接合する工法です。躯体にシートを接合しないため、躯体の亀裂が影響を受けたりすることはほとんどありません。
下地の撤去が不要なため、こちらもリフォームなどの改修工事におすすめの工法です。溶着剤や熱風で瞬時に接合するため、長期間にわたり接合面を維持することが可能です。
長期間にわたりノーメンテナンスで済むのが、シート防水です。長期的に防水層を維持したい場合は、塩ビシート防水が最適です。
塩ビシート防水の施工単価

塩ビシート防水の施工単価について解説していきます。
塩ビシート防水は「密着工法」と「機械固定工法」の2種類の工法がありますが、単価相場は同じで、目安として5,000〜7,000円/㎡です。
また、平面部分(屋上の床面など)と立ち上がり部分で施工金額が異なり、別々の金額単価設定をしている業者も多いです。
ほかに、下地処理費用や、残材処分費用などが別項目として見積書に記載されている場合があります。
見積書に記載されている内容は、細かく過不足がないか確認することがおすすめです。
施工場所によってどちらの工法が適しているか判断が必要です。特徴や予算を検討しながら専門業者に相談して進めていきましょう。
塩ビシート防水のメリット・デメリット

塩ビシート防水のメリット・デメリットについて、詳しく見ていきましょう。
塩ビシート防水のメリット
塩ビシート防水は、耐候性・軽量性・施工効率のバランスに優れた、現在のシート防水の主流工法です。
工場生産のシートを使うため品質のばらつきが少なく、安定した仕上がりが期待できます。
機械固定工法では既存防水層を撤去せずに施工でき、乾燥時間が不要なため工期は2〜4日で完了します。
さらに、ウレタン防水で必要な5〜8年ごとのトップコート塗り替えが基本的に不要なため、長期的なメンテナンス費用を大幅に抑えられるのが強み。
軽量で建物への負担が小さく、新築・改修工事のどちらにも対応できる汎用性の高さも、広く選ばれる理由といえます。
塩ビシート防水のデメリット
複雑な形状や細かい凹凸がある箇所への施工には不向きで、無理に貼り合わせると継ぎ目から雨漏りするリスクが高まります。
大判シートをカットして接合する工法のため、入り組んだ形状では継ぎ目が増えるほど弱点も比例して増える点に注意が必要です。
また、経年により可塑剤が気化してシートが硬化・ひび割れしやすくなるほか、台風などの強風でシートがめくれるケースもあります。
機械固定工法では施工時の騒音や振動が発生するため、居住中の建物では近隣への配慮が欠かせません。
こうした弱点は、事前の現地調査・適切な施工・定期点検を組み合わせることでリスクを最小限に抑えられます。
塩ビシート防水が向いている場所

塩ビシート防水が向いている場所について、主に3つに分けて解説します。
屋上・陸屋根
勾配のない陸屋根や広い屋上は、塩ビシート防水が最も性能を発揮できる場所です。
平坦で広い面積に均一なシートを敷けるため施工品質が安定し、50〜300㎡程度の面積では費用対効果も非常に高くなります。
継ぎ目は熱溶着で一体化されるため、適切に施工すれば高い防水性能を長期間維持でき、ビルやマンションの屋上で広く採用。
ただし、配管・架台・トップライトなど障害物が多い屋上では施工難易度が上がり、ウレタン防水との併用が適切な場合もあります。
形状がシンプルで平らな屋上であれば、長期耐久性とメンテナンスの手軽さを両立できる最有力の工法といえるでしょう。
ベランダ・バルコニー
ベランダ・バルコニーでも塩ビシート防水の採用は可能ですが、面積と形状によって向き不向きがはっきり分かれるでしょう。
接着工法(密着工法)を用いれば軽歩行にも対応でき、一定の防水性能を確保しながらの施工が可能です。
ただし、一般住宅の50㎡以下の小規模ベランダでは費用対効果が下がりやすく、FRP防水の方が適しているケースも少なくありません。
複雑な形状や段差が多いバルコニーはシートのカットと溶着が難しく、施工精度が雨漏りリスクに直結します。
比較的シンプルな形状で広さがある場合に限れば、長期耐久性を活かした有効な選択肢になるでしょう。
既存防水層の上から改修する場所
既存防水層が残っている改修工事では、機械固定工法(かぶせ工法)が特に力を発揮します。
既存防水を撤去せずに上から施工できるため、撤去費・産廃費・工期の削減を同時に実現できるのが最大の強みです。
アスファルト防水やウレタン防水の上からでも対応可能で、居住中の建物でも騒音・振動を比較的抑えながら工事を進められます。
ただし、既存防水層の膨れや剥がれがひどい場合は、部分補修か全面撤去が必要になるため、事前の下地調査が必ず先行します。
コスト・環境・工期のすべての面で合理的な改修工法として、現場での筆頭候補に挙げられるでしょう。
塩ビシート防水の施工手順

塩ビシート防水の施工手順について、「密着工法」と「機械固定工法」の工法別に解説します。
塩ビシートは専門的な作業工程が多いため、防水専門業者でなければ施工は困難です。
しかし、防水専門業者であれば必ず塩ビシートを施工できるわけではありません。
塩ビシートの取り扱いや施工に慣れている業者を選択しましょう。
密着工法の施工手順
まず、密着工法です。下記の順番で工事を進めていきます。
- 下地清掃
- プライマーの塗布
- 出っ張りや、配管周りの処理
- 立上り箇所の施工
- 屋上の床などの平らな部分の施工
- 空気抜き作業
- 仕上げ材の施工
1.下地清掃
下地と接着する際に砂やホコリ、油類、水たまり、ゴミ、などがあると工事が進められないため、清掃をします。
2.プライマーの塗布
下地とシートの接着力を高めるために、左官ブラシなどを用いてプライマーを下地に塗布します。
3.出っ張りや、配管周りの処理
ポリマーセメントペーストを使用し、出隅角・入隅角には成型役物を取り付けます。屋上のドレン菅、配管回りまわりなどには増し張り用シートを張り、影響が出ないようにします。
4.立上り箇所の施工
屋上の床などの平らな部分の施工よりも先に、垂直に立ち上がっている箇所へポリマーセメントペーストを塗りつけ、シートにしわや浮きができないように押えます。そしてローラーなどで押さえつけながら張り付けていきます。
5.屋上の床などの平らな部分の施工
塩ビシートをポリマーセメントペーストと共に流して張り付けていきます。
6.空気抜き作業
塩ビシートと下地の間にある空気を、ローラーなどを用いてシートの上から押し出して除去します。
7.仕上げ材の施工
塩ビシートの張り付け完了後に、防水層の外観や機能に問題がないか再度確認します。
仕上げ材がポリマーセメントモルタルの場合は、コテやローラーなどを用いて3~5mm程度シートの上に塗布して完了です。仕上げ材が別の材料の場合は、別の工程になります。
機械的固定工法
次に、機械的固定工法です。下記の順番で工事を進めていきます。
- 下地処理と確認
- 絶縁用シートの施工
- 固定金具の取り付け
- 塩ビシートの張り付け
- 塩ビシートの接合
- 役物まわりの施工
- 接合端末部を施工
1.下地処理と確認
樹脂アンカーやビスの引抜試験を行い、問題がないかどうか確認します。また、水たまりになるような大きなへこみは補修し平面にする、下地の強度を確認するなど、施工ができる環境を整えます。
2.絶縁用シートの施工
シワ・ふくれがないように敷き詰めていきます。そしてジョイント部分は、テープ張りで施工します。
3.固定金具の取り付け
シートがずれないように、固定金具を取り付けます。注意点は、固定金具はシートの割付や風荷重を考慮して取り付けることです。
4.燕尾シートの取付
絶縁用シートの上に塩ビシートを張り付けていきます。たるみや歪みが残らないよう慎重に、固定金具に溶剤溶着か熱融着で施工します。
5.塩ビシートの接合
塩ビシート全体を溶剤溶着か熱融着で接合していきます。
注意点は、接合幅は40mm以上で接合することです。
接合後に点検・不良個所の補修を行い、不備のないように整えていきます。
6.役物まわりの施工
塩ビシートの接合後、ドレン管や出隅角・入隅角に成型役物を施工します。
7.接合端末部を施工
最後に接合部の端に隙間が出ないように、コーキング材などを使用して隙間を埋めます。
塩ビシート防水を長持ちさせるポイント

塩ビシート防水を長持ちさせるポイントについて把握しておきましょう。
定期的に点検・清掃を行う
塩ビシート防水を長持ちさせる基本は、目視点検と排水ドレンの清掃を定期的に繰り返すことにあります。
シートのめくれ・膨れ・ひび割れは放置すると雨漏りに直結するため、早期発見が補修コストを最小化する唯一の手段です。
排水ドレンに落ち葉やゴミが詰まって常時滞水状態になると防水層の劣化が著しく早まるため、清掃の優先度は特に高くなります。
外観では異常がわかりにくい場合もあるため、2〜3年に1度は専門業者による点検を組み合わせるのが理想的な管理サイクルです。
日常清掃と専門点検を継続することで、耐用年数の上限に近い期間まで防水性能を引き出せるでしょう。
劣化症状を見つけたら早めに補修する
シートの剥がれ・ひび割れ・膨れを発見したら、速やかに専門業者へ連絡することが鉄則です。
小さな損傷でも雨水が侵入すると下地コンクリートを侵食し、被害が建物全体に広がるリスクがあります。
部分補修が可能なうちに対処すれば全面改修より大幅にコストを抑えられますが、耐用年数が近ければ全面改修を選ぶ方が長期的に合理的です。
特に端末部(立ち上がり部分)・ドレン周り・シートの継ぎ目は劣化が始まりやすく、点検時に重点的に確認すべき箇所になります。
個人での判断での補修はかえって状態を悪化させる場合があるため、異常に気づいたら業者への相談を優先してみましょう。
信頼できる専門業者に施工を依頼する
塩ビシート防水は施工精度が耐久性を直接左右するため、業者選びが工事の成否を決める最重要ポイントになります。
継ぎ目の熱溶着処理や端末部の仕上げは高度な技術が求められ、施工ミスが雨漏りの直接原因につながりやすいからです。
複数社から見積もりを取り、施工事例・防水施工技士の資格・アフターフォロー体制を比較することが、技術力を見極める目安になります。
ハウスメーカー経由の施工は割高になるケースが多く、防水専門業者への直接依頼がコスト削減につながる場合もあります。
長期保証の有無も含めて総合的に判断することが、後悔のない業者選びと建物の長寿命化につながるでしょう。
見積もり依頼時の注意点

施工技術の低い業者の工事や、高額な請求を回避するために見積もり依頼時に注意すべき点が2点あります。
- 見積書に工事費用の内訳が記載されている
- 平米、材料の種類や数量など詳細が記載されている
見積書に工事費用の内訳が記載されている
どのような工事で工程が進み、いくら費用が必要なのか、具体的な内訳が記載されている見積書を出している業者がおすすめです。
「防水工事一式」という記載のみの見積書しか出さない業者は、おすすめできません。
単価を上げることが可能で、相場価格よりも高い費用で請求される可能性があるからです。
また、内容の確認不足により必要な工程が抜け落ち、急に追加費用が発生するリスクがあるためです。
工事費用の内訳のチェックで、高額な請求と工程の設定ミスから発生するリスクを減らすことが可能です。
施工面積の平米数、材料の種類や数量など詳細が記載されている
施工面積の平米数や、材料の数について具体的な数字の記載がない見積書は注意が必要です。
材料に過不足が生じて実際は損をしていたり、施工範囲と思っていた場所が見積書の範囲外といわれトラブルになったりする可能性があるからです。
見積りの時点で数量まで出してもらうことを忘れないようにしましょう。
まとめ
塩ビシート防水の単価や特徴について解説しました。
塩ビシート防水には「密着工法」と「機械固定工法」の2種類の工法があります。単価相場はほとんど同じで、相場目安は5,000〜7,000円/㎡です。
見積依頼時の注意点としては、見積書の内容が詳細に記載されていて納得できる内容か、高額な請求になっていないか、という確認をすることです。
複数業者に相見積もりを取ることも考え、防水工事を検討する際には早めに動き出しましょう。
\防水工事・塗装工事・修繕工事のお悩みは株式会社修工舎へご相談ください/


