アスファルト防水にはどのような種類がある?種類別の施工単価や工期、注意点など徹底解説
自宅やビル、商業施設などさまざまな建物において防水工事は必ず行われるものです。
防水工事は日々雨や紫外線に晒される建物を保護し、雨漏りや建物の腐食を防止するために欠かせない工事です。
そんな防水工事ですが、施工方法の違いによってさまざまな種類があります。
そこで今回は、さまざまな種類がある防水工事のうち、アスファルト防水に絞って施工方法や施工単価、工期、注意点などについてご紹介させていただきます。
アスファルト防水とは?
アスファルト防水とは、合成繊維不織布のシートを液体状に溶かしたアスファルトに染み込ませてコーティングした、ルーフィングシートを用いて行う施工方法です。
施工箇所にルーフィングシートを積み重ねて貼り付けることで、水密性に優れた防水層の構成が可能になるのです。
また、アスファルト防水は熱工法・トーチ工法・常温工法という3つの種類に分類できます。
それぞれの種類には一長一短の特徴があるため、それぞれの特徴を知り、施工環境に応じてどれが最適かを検討しましょう。
アスファルト防水の種類
前述のように、アスファルト防水には3つの種類があります。
それぞれにメリットやデメリットがあるため、それぞれの種類について知っておくとアスファルト防水を検討する際に役立つでしょう。
ここでは、アスファルト防水の種類についてご紹介させていただきます。
熱工法
アスファルト溶融釜を用いて220℃から270℃の温度で溶融したアスファルトを使い、複数枚のルーフィングシートを積み重ねる工法を熱工法と言います。
溶融したアスファルトは、ルーフィングシートを張り付けた後すぐに硬化するため、施工後すぐに防水層としての機能を発揮します。
このような性質があるため、養生時間や養生期間がなく、防水層をすぐに作ることが可能です。
ただし、アスファルトを溶融する温度が220℃から270℃の範囲外になってしまうと接着力や品質の低下が起こり得るのです。
そのため、施工の際は作業員の技術力や経験によって品質が左右されると言えるでしょう。
さらに、溶融したアスファルトからは異臭や煙が発生するため、施工の際に対策を講じていないと近隣住民の方からクレームが発生する可能性があります。
また、溶融したアスファルトは非常に高温であり、施工の際に作業員が火傷を負うなどのリスクがあるため注意が必要です。
トーチ工法
トーチ工法とは、トーチバーナーと呼ばれる一般的によく使用されるバーナーを用いて、ルーフィングシートの裏面と下地を溶かして貼り重ねる工法です。
ルーフィングシートと下地をバーナーで溶かしてから接着するため、高い防水効果が得られます。
さらに、熱工法よりも異臭や煙の発生を抑えられるため、周辺環境への影響が少ないといった特徴があります。
また、熱工法よりも費用を抑えられるため、多くの現場で採用されているのです。
ただし、バーナーを使用するため、火事のリスクがあるというデメリットがあります。
施工箇所の周辺に可燃物を置いていることや火が木造箇所に燃え移るなどのようなことが起これば、火災に発展する危険性があるのです。
さらに、施工時に徹底した安全管理を行わなければ、作業員が火傷を負うことも起こり得ます。
施工箇所への細心の注意や、周辺環境を安全に保つために広い場所でなければ安全に施工できないといった特徴があるのです。
常温工法
アスファルト防水の中でも多くの現場で採用されているのが、常温工法です。
常温工法は、ルーフィングシートの裏側にゴムアスファルトの粘着層をコーティングし、それを用いて複数枚貼り合わせていくという工法です。
熱を使用せずに貼り付けるため、異臭や煙が発生せず、火事や火傷の心配がないという安全性に優れているといった特徴があります。
ただし、粘着層での貼り付けであるため、他のアスファルト防水と比べて防水性がやや低くなってしまうといったデメリットもあります。
【種類別】アスファルト防水の施工単価や工期は?
ここまでは、それぞれのアスファルト防水についてご紹介させていただきました。
防水工事を検討する際に、各施工方法の特徴だけではなく施工単価や工期も検討材料の1つです。
ここからは、アスファルト防水の施工単価や工期について、ご紹介させていただきます。
熱工法の場合
大型のアスファルト溶融釜を用いて施工を行う熱工法の工期は、おおよそ6日から10日前後必要になります。
また、施工単価は1㎡あたり約7800円前後が相場になります。
ただし、熱工法は広い場所に適した工法であり、施工面積が広くなれば工期も変動するため注意しましょう。
トーチ工法の場合
トーチバーナーを用いて施工を行うトーチ工法の工期は、おおよそ6日から10日前後必要になります。
施工単価は1㎡あたり約8200円前後となり、他の工法のちょうど中間くらいの金額です。
ただし、こちらも熱工法同様に施工面積や形状によって変動する可能性があるため、あくまで目安としてお考えください。
常温工法の場合
粘着層によって施工箇所に複数枚貼り合わせる常温工法は、6日から10日の工期が必要になります。
また、施工面積が狭い箇所で採用されることが多いため、施工面積が少なければ更なる納期の短縮が可能です。
常温工法の施工単価は1㎡あたり約8900円前後であり、他の工法よりも比較的高めであると言えるでしょう。
アスファルト防水を依頼する際の注意点
アスファルト防水を防水工事業者に依頼する場合、さまざまな点に注意しなければいけません。
事前に注意点をチェックしていないと、施工後のトラブルや料金に関するトラブルに巻き込まれることも起こり得ます。
ここでは、アスファルト防水を依頼する際の注意点についてご紹介させていただきます。
工法や工期を確認する
一口にアスファルト防水といっても、熱を用いるものもあれば粘着層で貼り付けを行う工法があるなど、施工方法はさまざまです。
そのため、工法を確認せずにアスファルト防水と一括りに考えて依頼してしまうと、思わぬトラブルが発生する可能性があります。
また、今回ご紹介させていただいた工期はあくまで目安であるため、施工箇所の状況や時期によって工期が延びることもあるのです。
そのため、早急に施工を行わなければいけないのに、予定していたスケジュールから遅れてしまうといったことも考えられるのです。
アスファルト防水を依頼する際は、事前に防水工事業者に採用する工法や工期について、しっかりと確認することをオススメします。
施工実績を確認する
アスファルト防水を施工するには、温度管理を含めた相応のスキルが必要です。
実際にアスファルト防水を不得意としている業者もあれば、そもそも対応できない業者もあります。
仮に依頼先の防水工事業者がアスファルト防水に不慣れであった場合、施工後に施工不良による品質の低下が起こる可能性もあります。
このような状態になることを防ぐためには、その業者の施工実績の確認が欠かせません。
過去に何度もアスファルト防水を手掛けている業者であれば、このようなトラブルが起こる可能性は低いと判断できるでしょう。
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相見積もりを取る
防水工事業者によっては、相場よりも高い金額を提示してくるケースがあります。
そのため、必ず複数の業者に相見積もりを行って、金額を比較しましょう。
相見積もりを行うことで、より安い金額を提示している業者に依頼できます。
このように、相見積もりをしっかりと取ることで施工金額に関するトラブルを防げるのです。
ただし、安すぎる場合も注意が必要なので、業者の対応や実績も確認しましょう。
まとめ
今回はアスファルト防水の種類や相場などについて、ご紹介させていただきました。
アスファルト防水は種類によって施工方法が大きく異なるため、その点を把握していなければ施工のイメージがつきにくいでしょう。
仮に施工のイメージが曖昧な状態で業者に依頼すると、後々トラブルになる可能性があるので、注意が必要です。
アスファルト防水を依頼する際は、アスファルト防水について事前にリサーチし、施工実績が豊富かつ適切な金額を提示してくれる防水工事業者に相談しましょう。